米5月新築住宅販売件数は年率55.1万件と、市場予想の50.4万件を超えた。2008年2月以来の水準へ急増した前月の58.6万件(61.9件から下方修正)は6.0%下回る。
4大地域別では、前月比にて1地域のみ増加し3~4月の3地域から減少した。特に北東部が33.3%減の3.4万件と、過去2ヵ月分の2桁増から大きく落ち込んでいる。IT関連企業が多い西部も15.6%減の12.4万件と、前月の増加分をほぼ打ち消し。石油生産地が集まる南部は0.9%減の32.3万件と、小幅ながら3ヵ月ぶりに減少した。一方、4月に唯一減少していた中西部は12.9%増の7.0万件と、増加に転じた。
在庫総数は前月比1.2%増の24.4万件となり、景気回復サイクルで最高を示した。販売件数が前月から減少した半面、在庫が増加したため、在庫相当は前月の4.9ヵ月から5.3ヵ月へ延びた。
中央価格は29.04万ドルと、前年比では1.0%上昇した。4ヵ月連続で上昇した。ただし、過去最高を記録した4月の32.02ドルからは9.3%下落した。
新築住宅販売件数、直近は調整していた価格が盛り返す。
(作成:My Big Apple NY)
大和キャピタル・マーケッツのマイケル・モラン米主席エコノミストは、結果を受け「4月に大幅増だった反動で、5月の数字は景気回復サイクルで前月に次いで2番目の高水準」と振り返った。あくまで、今回は調整に過ぎないとの考えを示唆している。
――米5月新築住宅販売件数を米5月住宅着工件数と照らし合わせると、販売向けの住宅在庫が増加する可能性を示します。新築住宅の在庫も増加し、需給ひっ迫が少しでも緩和する可能性を現しました。もっとも、米5月中古住宅販売件数では新規購入者の割合が低下しており、新築住宅価格の高止まりも重なり、新築住宅販売件数が金融危機による景気後退以前の100万件乗せを目指す軌道を取り戻すかは疑問が残ります。
(カバー写真:Great Valley Center/Flickr)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2016年6月27日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。