人工知能が記事を書く時代が来た

山田 肇

AP通信社が、米国マイナーリーグの試合記事を、これからは、人工知能(AI)に任せると発表した。トリプルAからシングルAまで膨大なチームがあるため、人間では全試合はカバーしきれない。そこで、試合記録データを元に、記事を自動生成することにしたそうだ。

マスメディアの記事には、発表報道と調査報道の二種類がある。政府、企業や警察の発表を要約して記事化するのが発表報道である。マイナーリーグの試合記録も発表報道の一種である。

一方、調査報道は、取材者が様々に調査し、そこから新しい事実を突き止める報道である。速報性で勝てない週刊誌は調査報道を中心に据えている。週刊文春がその典型で、舛添問題では世の中を動かした。

新聞は発表報道が主体である。しかし、政府や企業は記者クラブへの投げ込みと同時にネットでも報道発表するから、発表報道の価値は下がっている。東京都知事選挙でも、新聞は、小池百合子氏の記者会見や、区長会が増田寛也氏へ要請といった、発表報道に終始している。増田寛也氏が岩手県知事時代に膨大な債務を積み上げたという調査結果は、渡瀬裕哉氏はアゴラに投稿したが、新聞では記事になっていない。

所詮ネットには速報性で勝てないのだから、新聞も調査報道に移ればよいと思うのだが、その方向にはなかなか動かない。能力が高まるに連れて、AI記者はスポーツだけでなく、他の分野でも発表報道記事を書くようになると思うのだが、その危機感は新聞にはないらしい。

危機感を抱いた新田さん(アゴラ編集長)のような存在は少ない。新田さん、大手新聞社を中途退職してネットに移って正解ですよ。