あなたの1票は日本を変えない。

1.「構図」で選挙は決まる~組織票以外は焼け石に水~

もう誰しもが、心のどこかで思っていることなのではっきり言っておく。

週末に控えた参院選の投開票日。

「あなたの1票は、日本を変えない」。

日本の未来は既定路線を進んでいる真っ最中なのだ。

各選挙区での野党一本化が不調和に終わった以上、自民党一強の「構図」は崩れない。

今の自民党に勝とうと思ったら野党の組織票全部足してかからないと勝ち目はないからだ。

(例:改憲勢力で3分の2占める見通し by朝日新聞

「そんなのやってみないとわからないだろ!」
「民進党が単独で力をはっきするかもしれないだろ」
「共産党を舐めんなよ」
と反論されるかもしれないが、もし気で思っているとしたらそれらの党は文字通り「解党」的出直しをすべき。(どうせそういう反論するのは「中の人」だしねw)世論が全く読めてない。致命的なまでにズレている。

「中の人」はもう手遅れなので放っておいていいけど、有権者の「あなた」がたまたま何かの拍子に自民党一強に疑問を抱き、野党に投票したいと思ったとしよう。

選挙は言うまでもなく多数決なので文字通りあなたの一票だけでは何も変えられない。なので周りを説得するとしよう。

あなたの隣のAさんはめんどくさいから投票に行く気すらない。隣のBさんはなんとなく自民党以外は「頼りなさそう」というイメージで自民党に投票する。

「めんどくささ」と「(野党の)頼りなさ」。

日本人の心に沁みついたこの2つの感覚を、あなたが必死で説得できる保証なんてないし、仮に説得できたとしてもその数は知れている。

まとめると「構図」に立ち向かうには組織票の統合(今回で言えば野党一本化)しかない。政党・個人の草の根努力など焼け石に水なのであった。

2.無意味な選挙啓発~投票率は政治そのものの面白さで決まる~

各陣営は候補者を当選させるために必死なので今も昔も頑張ってるというのは同じ。だが、今の選挙のトレンドは「中立」の立場から投票率向上を呼びかける動きが盛んになっているということだ。(NPOや大学生ら若者の団体の多くは「コスプレ中立派」のようにも見えるがw)

例えば18歳選挙権の導入ということで、若者の団体は若者に投票を呼び掛ける。自分たちより一回り大きい30歳以上のおっさんばかりの中から若者のニーズを捉えた人を探す作業は「白いカラス」を探す並みに無理難題。誰も挑戦しない。

そもそも18歳選挙権導入とはいえ、主要政党は若者票なぞ結局のところ必要としてない。「投票するかわからない連中」の取り込みのために思い切った人選をしてリスクを取るなんてことはする必要がないからだ。

また、商店街は趣向を凝らし、「選挙割」と称して選挙に行って来たらビールが安く飲めたりる。まあ、一年で一番ビールがおいしい季節なんで。選挙だろうが何だろうが飲むものは飲む。「選挙割」を利用する人はいつも選挙に行ってる人ばかりで、ビール安く飲めるからいつも行ってないけど行くなんて人はいないだろう。

結局、候補者、政党で面白いのがでてきて盛り上がらない限り投票率が上がることはない。
投票率向上のために変わるべきは政治「そのもの」であって、政治の「周り」がいくら盛り上がってみても、一種の詐欺広告・誇大広告みたいなもんで胡散臭いだけである。

●選挙はやる前から結果が出ている

しかも、ちょっとやそっと面白い候補者、政党がでてきても、今の国政でいえば「自民一強」のように、「構図」が厳然と存在するうちは何も変えることはできない。焼け石に水である。

冒頭の「あなたの1票は日本を変えない」が「投票する側の現実」だとすれば、これは「投票される側(立候補する側)」の現実。

職場で優秀、業界でやり手と言われているあなた。自信満々に立候補したけどすべて勘違い。主要政党の公認がつかなければ、公認のついたあなたよりはるかに●●●で●●●の天才バカボンにも負けてしまう。

選挙はどこの党が公認候補として誰を指名するかの時点でほとんど結果が見えているのである。

例えば東京都知事選には毎度10人20人の候補者が立候補するが、まともな戦いができるのは主要政党の公認候補かそれに準じた圧倒的知名度ある候補(今のままでいくと小池百合子さんがそれになるのか?? )でないと話にならない。

あなたが立候補する前に、もう結果はほぼ出ているものなのだ。

3.負け戦に臨むバカ=政治的には何の価値もない

何度も繰り返し言うが、あなたの一票は日本を変えない。あなたの立候補も日本を変えない。

大切なことは、今どこの党が強いのか、その党は何をしようとしているのか。

仮にその党のやらんとしていることが誤っていると思うのであれば、どうやって折り合いつけて生きていけばいいのかを考えることに集中した方が有意義である。

その党と戦うためにやっぱり自分が立候補するだって??

・・・・・・。

・・・・・・。

・・・・・・。

ふっ・・・。

わてはそういうあほが大好きや。

そういうあほがいてこその日本やで。へへへっ!

・・・とさわやかに締めくくりたいところだが、全然違う。

本気でやるのなら「構図」を打ち砕くための資金も権力も必要なわけで、それすらも得ようとせずに心意気だけで負け戦をやろうとする。「結果にコミット」しないナルシズムが自民党以外全党中途半端の現状を招いた。二大政党制、夢のまた夢。寝言は死んでから言え。政治のダイナミズムを創り出すには、1人の人間が生まれて死ぬまでの時間かけた下ごしらえが要る日本になってしまっている。

■水谷翔太
NHK記者を経て橋下徹大阪市長(当時)の実施した公募により、史上最年少で大阪市天王寺区長に就任(当時27歳)。退任後は企業経営者としてテレビ、WEBサービスの企画・開発に取り組む。複数の企業顧問の他、内閣府地方創生推進事務局 地域活性化伝道師も兼任。
■個人メルマガ(有料)「元史上最年少区長の週刊時事解説」
http://www.mag2.com/m/0001672581.html