多くの女性にとって、手頃な男性と結婚するのか、それともハイスペックな男性と不倫をしながら婚外子を生むのかは、切実な問題である。そこで、今回、男の年収から、正妻、愛人それぞれが法的に受け取ることができる金銭を計算し、定量的にどちらが得なのかを分析してみた。
まずは、以下を仮定した。
(1) 女の年収は350万円
(2) 正妻の場合も愛人の場合も子1人を作る
(3) 愛人の場合は、男性には妻子がおり、その男性は自営業である
(4) 養育費を受け取る期間は一般的な大学卒業までの22年間とする
(5) 正妻が受け取る婚姻費用の経済的価値も22年間で計算する(近年は日本の司法は破綻主義に傾いており10年も離婚裁判をすれば認められることが多いので、22年はかなり長い期間である)
(6) 金利をゼロとする
これらの条件で、正妻が受け取る婚姻費用の総額、愛人が受け取る養育費の総額を計算すると、次のようになった。
(判例タイムズ1111号 簡易迅速な養育費等の算定を目指して―養育費・婚姻費用の算定方式と算定表の提案―)
出所: 金融日記恋愛工学研究所
青い線が正妻が受け取ることができる金額である。当然だが、夫の年収が自分の年収の350万円より低いと、結婚によって経済的な損失を被ることになる。年収600万円の男性と結婚すると約1900万円、年収1000万円の男性なら約3700万円、年収2000万円の男性だと約8100万円を妻は受け取ることができる。
一方で、所得600万円の妻子ある男性と不倫して子供を作ると1000万円、所得1000万円なら1900万円、所得2000万円なら4100万円の養育費を受け取ることできる。結婚制度があるので、正妻よりも取り分が大幅に少なくなる。当たり前のことだが、仮に顔などの条件が同じ場合、結婚してくれる男性を袖にして、同程度の年収の既婚者と不倫に走る経済合理性はない。しかし、通常の場合、女性は、不倫をしたほうが、よりハイスペックの男性とつきあうことができる。
そこで、結婚してくれるサラリーマン男性よりも、不倫相手の子供を作ったほうが得するには、どれだけの年収格差が必要なのかは、多くの女性にとって極めて重大な情報である。今回、当研究所で理論モデルを構築し、結婚して正妻になるよりも、不倫のほうが得になる年収格差の分岐点を計算した。以下の表がその結果である。
結婚するよりも不倫したほうが得するための相手の年収[万円]
出所: 金融日記恋愛工学研究所
この表は、いわば不倫が経済的にペイするためのブレークイーブンポイントである。たとえば、年収が200万円以下の男性と結婚するぐらいなら、すべての男性と不倫をしたほうがマシなことになる。年収600万円の男性が結婚のオファーを出してくれているなら、年収が1000万円以下の男では不倫する価値はない。しかし、年収600万円の男性と結婚するよりは、年収1000万円以上の既婚者と不倫をして子供を産んだほうが得することになる。年収1600万円の男性と結婚するチャンスがあるならば、それを断るには年収3000万円以上の既婚者が必要だ。
さて、この続きは今週のメルマガでくわしく議論することにしよう。