名札をつける、スカートの丈は長くしない短くしない、髪の毛を染めない、掃除の時は体操着に着替える、授業に関係ない物は持ってこない……。かつて私が中学生をそう指導した内容です。そう言えば、生徒がまだ帽子を被っていた初任校では、「帽子をかぶる」という校則もありました。
「校則」と書くと固くて強い印象を与えますので、「学校生活のきまり」なんて呼ぶ学校も多かったように記憶しています。「きまり」と平仮名にしたあたりに、やや遠慮がちな先生たちの気持ちも窺えます。
最近では生徒会あたりが中心となり、生徒自らが「きまり」の改正等を行っている学校も多くなりました。生徒が主体的にその方向で頑張っていけるようにと、先生たちもいろいろ工夫しています。
生徒の成長の度合い、保護者の価値観、教職員の指導観、社会の風潮、こうしたものは一定ではなく時代とともに変容し多様化するものですから、それがない交ぜの背景となり、学校の場にはそれまでなかった問題が新しい問題となって噴出します。職員会議や学年会ではいつも、「この件の指導」を今後どうするかが議題となりました。例えば生徒のケータイ持ち込みについては、最近ではもう落ち着いたと思いますが、それまではどの学校でもけじめ尊重派と主体性尊重派の職員が恐らく侃々諤々の議論を行ったと思います。
標題はそうした「きまり」のひとつです。登校時に制服、体育の授業でジャージ、次の授業で制服、放課後の掃除でジャージ、下校で制服、となると生徒は4回着替えることになります。かなりの面倒です。
とりわけ部活動の生徒や指導教員は、朝練や放課後の活動の便も考えて概ねジャージ登下校にもジャージでの座学授業にも賛成でした。登校から下校までずっとジャージではけじめがつかない、第一不衛生だ、制服を利用する機会が少ない、せっかく高いお金をかけて制服を買ったのに・・・。
これは保護者の意見です。制服登校だった学校で、ジャージ登校を認めて欲しいと保護者から意見が寄せられたこともありました。親の意見も様々です。近頃ではもう大勢は決したのでしょうか。
天野 信夫
無職(元中学教師)