民主党全国大会、幕開けはブーイングの嵐とともに

民主党大会

オバマ米大統領は、最後のホワイトハウス年次記者晩餐会で共和党をネタにこんな余裕のジョークで会場を沸かしていました。しかし、人のことは笑えないものです。

民主党全国大会は、ペンシルベニア州フィラデルフィアで開幕しました。共和党の党大会は自由投票を求める議事妨害並びにメラニア夫人のスピーチ盗作疑惑で開幕し、テッド・クルーズ議員の反乱が間に入り、恐怖心理を突いたトランプ候補の演説で幕を下ろしましたが、いやいや民主党もやってくれましたね。

クリントン候補やケイン候補の名前が出てくるたびに、バーニー・サンダース上院議員(バーモント州)を支持する声「バーニー!バーニー!」が飛び交う有様だったとか。クリントン候補も賛成していないとはいえ「NO TPP!」とする野次まで出てくる始末。サンダース議員がテキスト(携帯電話用メッセージ)で「議場でいかなる抗議活動を行わないように」とまで、依頼したものです。党大会初日の最後に登壇し「我々はヒラリーを選ばなければならない」と呼びかけたものの、「バーニー」を叫ぶ声は鳴りやみませんでした。

会場のあちこちで見掛けられた、サンダース支持者。
twitter
(出所:Twitter

政策綱領の採択でもひと悶着あり、結束には到底程遠い。民主党全国委員会(DNC)がクリントン候補に肩入れしていた事実がメールで発覚したばかりですから、抗議活動が熱を帯びるのも致し方ないでしょう。

しかも、CNN/ORCの世論調査ではトランプ候補が優勢になったから大変です。7月22日~24日と共和党大会終了後の調査では、トランプ候補の支持率が44%とクリントン候補の39%を抜き去りました。約1週間前並びに2週間前はクリントン候補が42%と、トランプ候補の39%、38%を超えていたものの、逆転を許しています。ちなみに、リバタリアン党のゲイリー・ジョンソン候補の支持率も前週の13%から9%へ、グリーン党のジル・スタイン候補も3%から2%へ低下していました。

CNNによると「党大会後の大幅な支持率上昇は、2000年以来初めて」。それだけではありません。有権者の間でのトランプ候補の好感度も46%と、党大会前の39%からジャンプアップしました。

共和党全国大会後の好感度、有権者以外を含めた場合は以下の通り。

▽トランプ候補

好ましい 43%で少なくとも2011年以来で過去最高 > 好ましくない 52%

▽メラニア夫人

好ましい 39%で少なくとも2月以来で過去最高 > 好ましくない 34%

▽ペンス知事

好ましい 34%(前週は24%) > 好ましくない 25%(前週は21%)

▽クルーズ議員

好ましい 27%(前週は36%) < 好ましくない 57%(前週は48%)

▽クリントン候補

好ましい 39%、少なくとも2006年9月以来で最低 < 好ましくない 55%

▽正副大統領候補でみた支持率

トランプ/ペンス 48% > クリントン/ケイン 45%

今年の米大統領選は無党派の獲得がカギを握ります。ギャラップ調査では無党派層が42%と1988年以来で最高を記録しているだけに、双方ともどうしても抑えたいところ。CNN/ORCの世論調査では経済やテロリズムでもトランプ候補が優勢(経済:トランプ 54% クリントン 43%、テロ:トランプ 53% クリントン 42% )であり、いくら7割近くの勝率が見込まれているとはいえ民主党陣営は楽観視していられません。英国では、まさかまさかのBREXITの事態も迎えましたしね。

(カバー写真:Twitter


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2016年7月26日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。