イチローは海外日本人の誇りだ!

長谷川 良

イチロー選手の大リーグ通算3000本安打達成はもはや時間の問題となった。達成したら、日米メディアでイチローの偉業に対する称賛の声が溢れるだろう。大偉業まであと2本となった28日、当方はイチロー選手の偉業に対し、当方なりの記事を書きだした。記録達成の日は、当方もイチロー関連の記事を読むのに忙しく、自身の小さな感慨などを書く時間はないと思ったからだ。

イチローの過去の記録を見れば、イチローが如何に偉大な選手であるかは一目瞭然だろう。日本での9年間、大リーグの15年間の歩みは一つ一つが記録であり、ドラマだ。

当方にとって残念なことは、イチローの打撃をライブで見たことがないことだ。当方が36年前、日本を去った頃から、イチロー選手の活躍が始まったから仕方がない。当方は日本の野球界に登場したイチロー選手のグランド上の活躍を間接的に聞いたり、新聞を読んでフォローしてきただけだ。その意味で、当方はイチローのファンだと自慢できる資格はないかもしれない。

当方にとって、野球の英雄は久しく巨人の長嶋選手、王選手だった。王選手がホームランの世界記録を達成した時、当方は1塁側からカメラを構えていた。長嶋選手の場合、東京の田園調布だったと思うが長嶋さんの自宅を訪問し、インタビューを申し込んだことがある。その時、「インタビューは読売広報部を通じてお願いします」と、お手伝いさんと思われる女性の声が玄関のインタフォンから聞こえただけだ。あっさりと断られた。自宅の玄関に、招いてもいないジャーナリストがインタビューを申し込んできた時、それを受けるスターなどはいないだろう。当方は当時、まだ20代の若造で、やる気だけは人一倍あったが常識に少々かけていた時代だった。

欧州に住んでからは、長嶋・王選手は当方の記憶から薄くなる一方、トルネード投法の野茂英雄投手の動向に熱い視線を送った。ア・リーグとナ・リーグでノーヒットノーラン試合を達成した野茂の活躍は、彼が引退するまで当方の関心事だった。

野茂投手と入れ代わるように、イチローが大リーグで様々な記憶を達成してきた。大リーグ最多安打を達成した時などは驚いた。そして今年、ピート・ローズの記録を破った。イチローの場合、常に記録がらみだった。それは華やかなホームランではなく、無失点試合といったサプライズでもない、積み重ねていく安打数が演じるドラマだからだ。もちろん、イチローの場合、安打だけではない。レーザービーム送球や華麗な盗塁は神業ともいわれている。

そのイチローが3000本の大記録を実現しようとしている。27歳に大リーグに入ってからの大記録だ。彼が20歳で大リーグ入りしていたら、今頃どのような記録を達成していただろうか、というテーマを米野球専門誌「ベースボール・アメリカ」が21日、報じていたという。そんな気持ちを沸かせるほど、イチローの記録は驚異的だ。

イチローは日本人の誇りだろうが、海外に居住している日本人にとっても同様だ。野球を知らない欧州の友人にイチローの大リーグの活躍話をついつい話してしまうこともある。イチローが大きな怪我もせず活躍し続けてきた背後には、人並み外れた自律と意思力があるからだろう。

海外居住の日本人の一人として、イチローの3000本記録を喜びたい。本人は52歳まで現役でプレイしたいという。自愛して今後も頑張って頂きたい。イチローさん、一足早いが、おめでとう、そして、ありがとう。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2016年7月31日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。