アテネオリンピック体操男子団体で金メダルに輝いた水鳥寿思さん。
33歳にして、日本最年少のナショナルチーム監督に就任し、リオデジャネイロでは指導者として世界の頂点に立ちました。
体が硬いなど体操選手として恵まれているとはいえない体格、度重なる大きな怪我。困難な境遇から何度も這い上がり、努力を重ねて栄冠に至った過程と、人柄が評価されてともいわれています。
2014年1月に、f-Bzで水鳥さんと行ったトークセッションでは、スポーツ分野での成果を上げるポイント…と伺いつつも、ビジネスや日常生活でもまったくそのまま活かせる内容だったので、これ元にまとめてみますた。
努力は、考えて工夫する。そして、何度も試行錯誤する
なによりも努力をすることはもちろん大切、多くの時間を練習にさくことももちろん大事。ただし、がむしゃらにひたすら努力をするだけじゃだめ。どうしたらもっとやくあれるかと考えて、より練習の効率を上げるにはどうしたらよいかと考えて取り組むこと。そして、成果を上げるためには何度も何度も試行錯誤する事が大事だとも。
自身よりも上手な人を見かけたら、声をかけて「なぜなのか?」と聞き、実際の自身に活かせばいい。水鳥さんも、たとえば少年時代に社会人との合同の練習会で「すごい!」と思う選手に休憩時間に声をかけて、質問をして参考にしていったとのこと。
やり続ける中で、できるようになる。楽しくなるし、目標ができる
楽しいから続けられるんじゃないかとか、目標があるから頑張れるんじゃないだろうかと普通思うんですよね。そうかもしれない、しかし逆もあるのかもしれない。水鳥さん自身は生まれつき体が固く、体操一家のなかでもいわば「劣等生」だったそうで、楽しくなかったし、実際苦しい思いをすることのほうが多かったとか。そんななかでも、やり続ける中でできることが増え、できることが増えると楽しくなってくる。そうなると、目標が生まれ、もっとがんばろう、という気持ちが生まれてきたんだと。楽しいからがんばれるんだけれど、がんばるから楽しくなる、というのも真だとおもう。
緊張を突破するのは努力
オリンピックの大舞台はそりゃ緊張感マックスだったそうで(想像のしようもないけれど、めちゃくちゃ緊張してそりゃ、ま平常心ではいられないですよね)、実際ご本人もドキドキだったとか。ただ、演技に入る時につり輪に手をかける(アテネ・男子団体決勝では、つり輪を担当されたのです)と「あ、いつもの感覚だ」って思えたから、平常心で演技できたっていうんですね。努力をしまくって、体に染み付いているから、演技に入るといつもと同じになれた、っていうことじゃないかと。
以前、プレゼンをする際に「事前に20回練習すれば、緊張感なく自然にできる」とおっしゃっていた方の話を思い出しました。結局、ビジネスでも同じなのかもしれません。
執念、絶対に実現したい、という気持ちをいかに引き出すか
いろいろとお話をお伺いする中で、しかし結局一貫しているなぁと思うのは、結局「絶対に実現したい」っていう強い思い。執念というか、もはや怨念と言ってもよいくらいの諦めない心。ここまで何度も出てきた「努力」という言葉の程度も、まさに執念を持って取り組んでいる人と普通の人ではまったく違うものなんだろうなぁと思います。
水鳥さんのお話を通じて一貫してビンビン感じたのは、この執念でした。
これ、ビジネスでもなんでも 一緒ですよねきっと。圧倒的な成果を出している創業経営者の方々とご一緒した時に感じるのもの、頭の回転とかセンスとか、ってものと同時に、いや結局は「執念」の強さ何じゃないかなと思うのです。
現在は、ナショナルチームの最年少監督として育成の立場で取り組みを重ねている水鳥さん。スポーツの現場や他種目のナショナルチームでも体罰なども社会問題になる中で、育成に際してお伺いしていく中でなんども発せられたのはこの言葉。
コーチング、ファシリテーション
結局「努力」を続けられるか、「執念」を持って取り組めるかって、内発的な動機付けじゃないとできないですよね。だからこそ、指導するってスタンスよりも、本人の気付きを引き出す、その気にさせるってことを重視されているそうです。
トップアスリートのお話は、ビジネスにも日常にも通じる。
そんなお話ですた。
ではでは。
秋元祥治
NPO法人G-net代表理事・滋賀大学客員准教授・OKa-Bizセンター長
編集部より:この記事は、秋元祥治氏のブログ 2014年3月7日の記事を転載、一部アゴラ編集部で加筆させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「秋元祥治(岐阜・G-net・OKa-Biz)の活動日記」をご覧ください。