なぜ、スタバはドトールより顧客満足度が低いのか

内藤 忍

image476

サービス産業生産性協議会の調査によると、2016年度のカフェ部門の顧客満足度1位はドトールコーヒー。2位がタリーズとベローチェで、スタバは 4位に下がってしまいました。スタバは、なぜドトールに負けてしまったのか?スタバとドトールを愛用する1人の利用者として考えてみました。

スタバはコーヒーのクオリティは一番だと思いますが、3つの点でドトールに強みがあると思っています。

1.味
コーヒーはダントツに美味しいと思うスタバですが、フードに関してはドトールの圧勝です。ミラノサンド、レタスドッグといった定番のロングセラーメニュが あって、安定したクオリティを保っています。軽く何か食べたいと思った時、スタバのコーヒ-を飲みながら、レタスドッグを食べたいと思うのは私だけでは無 いはずです。

2.価格
スタバにはワンモアコーヒーという2杯目100円というサービスがありますが、価格は全般に高めです。ドトールは、ドトールバリューカードというのを発行 して、ポイントを付与するようになりました。利用額が増えれば還元率も高くなるという仕組みで顧客の囲い込みを行っています。スタバにもカードがあります が、時々キャンペーンをする程度で、大口利用者への割引などのメリットはありません。ワンモアコーヒーよりも、ドトールのような仕組みの方が、価格面での 顧客満足度は高まるように思います。

3.スピード
スタバは注文のカスタマイズを柔軟に受け入れます。またフラペチーノの新しいメニュが次々に登場します。そのせいか、1人当りの注文時間が長く行列の原因 になります。ドトールもランチ時などは行列になることもありますが、注文がシンプルなのでサクサク進みます。スタバも混雑時だけ「クイックレジ」を設け て、コーヒーだけサッと注文するような時間優先の顧客の優先対応をすれば、顧客満足度が上がると思います。

スタバの顧客満足度が下がっているのは、他のコーヒーチェーンと比べた特徴があまり無くなってきたからだと思います。サードプレイス(家とオフィス の間にある第3の場所)というコンセプトで、落ち着いた雰囲気が支持を得てきました。しかし、最近はノマドワーカーと学生がパソコンと資料を広げる「作業 場」のようになり、リラックスする場所ではなくなってきました。

他のカフェチェーンと同じ土俵で競争しなければならなくなった時、スタバが顧客満足度1位になるためには「うまい、安い、早い」というファストフード業界の基本を極めることが必要です。

調査データを見ると、それぞれのカフェの顧客満足度の差は小さく、コメダ珈琲など新しい成長企業も登場しています。ドトールは今年も1位でしたが、来年も1位をキープできるのか。激しい競争が続く業界ですから、油断はできません。

※毎週金曜日に配信している「資産デザイン研究所メール」。資産を守り増やすためのヒントから、具体的な投資のアイディア、そしてグルメな情報まで、メールアドレスを登録するだけで無料でお届けします。

※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年8月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

アバター画像
資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。