高橋洋一氏のとことん外れた経済予測

高橋洋一氏によれば、「経済学者は自分たちの意見が政権に受け入れられないと嘆くより、経済予測を誤ったことを反省すべき」だという。彼自身は「経済学者」の中に入っていないようだが、確かに日本の学界で彼を経済学者と認める人はほとんどいない。リフレ派と称する人々の論文も、学会誌には1本も掲載されない。

「経済予測を誤った」のは誰だろうか。2013年11月のコラムで、彼はインフレ率が「あと1年半の間(つまり今年4月の黒田緩和から2年のうち)には、2%まで達するのはほぼ確実だ」と書いている。つまり「2015年4月までに2%のインフレ目標が達成される」という岩田副総裁と同じ経済予測をしたわけだ。これは反証可能な命題だが、結果は次の通りだ。

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消費者物価上昇率(出所:総務省)

日銀の指標とするコアCPI上昇率は、2015年4月にはゼロになり、今年6月には-0.5%だ。「黒田緩和から2年のうち」で物価が1%以上あがったのは、原油価格の上がった2014年前半までで、それも原油価格とともにマイナスに沈んだ。「2%にならなければ辞任する」と国会で見栄を切った岩田氏と同じく、高橋氏の経済予測は完全に外れたのである

彼の予測では、アベノミクスの成功でGDPもどんどん成長するはずだったが、今年4~6月の実質成長率はゼロだ。これを彼はすべて消費増税のせいにしているが、消費税の影響は2014年度中にもとの水準に戻り、その後は税率は上がっていないのだから、2015年度以降のマイナス成長の原因は消費税ではなく、アベノミクスそのものだ

高橋氏のような「御用エコノミスト」が安倍首相をミスリードしたおかげで、ここ3年の日本経済は停滞し、政府債務だけが100兆円以上増えた。そのツケは、確実に将来世代に回ってくる。リフレ派は過去の記事をこっそり削除しているが、そのコピーはあちこちに残っている。恥を知れ。