就活に関する覚書

昨日、フジのバイキングにちょこっとだけ出演して就活について話したのだが断片的だったと思うので、事前アンケートへの回答をベースにメモしておこうと思う。

1.“オワハラ”についてどう思うか?
(オワハラとは、「絶対に弊社に入ると約束してください。そうしないと、内定を出しません」と、就活自体を終わらせる会社側の行為)

企業側は内定取り消しが原則不可能なのに対し、学生側はいつでも自由に辞退可能なので、企業としては何らかの形で縛りをかけるしかない。「絶対御社に入社します」と言いつつ年が明けたら音信不通だと仕事にならない。就職先として圧倒的なブランド力のある企業ならともかく、普通の企業ならやっていない会社はない。

逆に「学生の側も内定承諾後は辞退不可能」とすればオワハラなんてすぐに消えるし恐らく内定式も無くなる。

ただ、そうなると恐らくほとんどの学生は「貴重な一回限りの新卒カードを、採用基準や入社後のキャリアパスが曖昧な状態でいきなりは捨てられない」と思うはず。というわけで、現行の新卒一括採用が続く以上、採用活動というのはなんとなくグダグダ長期化し、“オワハラ”も必要悪として存在し続けるだろう。

2.就職のことを考え、「とりあえず大学には行っておけ」と子供にアドバイスする親はどう思うか

「とりあえず大学に行く」レベルの動機なら、MARCH以上(明治、青学、立教、中央、法政)なら行くメリットはある。が、それ以下なら大企業からは大卒とは見なされない可能性が高いので4年間と学費払ってまでいく意味はあまりない。

※ただし近畿大に行ってマグロ養殖やりたいとか国士館行って警察官になりたい等、明確な動機がある場合は別

3.SNSのプライヴェート書き込みを企業がチェックすることはどう思うか

あまり聞いたことが無いが、採用規模の小さな企業ならありえるかもしれない。ただ、飲酒運転したとかホームレスに石投げたといったアウトローな内容でなければ基本的に心配しなくていい。

4.リクルートスーツ着用の是非についてどう思うか

これは賛否両論がある。筆者はいらない派だが、「重要なビジネスの交渉に際して一般儀礼的な着こなしも出来ない時点で人材的には論外」という経営者、人事担当も多い。

ただ、ちょっと学生は過剰に意識しすぎで、もう少し個性を出してもいいと思う。普通のビジネスマンが来ているレベルのスーツやシャツ、タイなら合否にはマイナスしないはず。逆にそんなみみっちいことでごちゃごちゃいうような会社には入ってもロクなことがないので無視してよい。

5.六月面接解禁ルールが形骸化していることについてはどう思うか

経団連傘下企業以外はいつから始めてもよいので、対抗上フライングせざるをえない。就活開始時期は実はあまり重要ではなく、具体的なキャリアの内容や内定後の雇用契約の扱いをクリアにした方が、ずっと双方の負担は少なくなる。


編集部より:この記事は城繁幸氏のブログ「Joe’s Labo」2016年8月30日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった城氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はJoe’s Laboをご覧ください。