ウォールストリートジャーナル(WSJ)にインデックス運用に関する記事が掲載されていました。日本語版は無料で読むことができます。趣旨は、インデックス投信が広がれば広がるほど、市場の価格形成を歪めるのではないかという懸念です。
インデックス運用とは市場の平均値に投資をする方法です。日経平均やTOPIXのように、個別銘柄の売買で利益を狙うのではなく市場価格をなぞるよ うに運用していきます。インデックスファンドは、アクティブ投資家が設定した価格を受け入れるだけの運用手法で投資を行い、価格形成に加わることはありま せん。
インデックス運用のメリットは2つあります。1つは、アクティブ運用よりも平均して良い運用成果が出せる可能性が高いこと。そしてもう1つは、アクティブ運用のように人的なコストが低く、売買頻度も低い分、低コストで運用が可能ということです。
金融資産の運用手法に関して、「初めての人のための資産運用ガイド」(写真)でも詳しく説明しているように、一貫してインデックス運用を薦めています。また、自分自身の資産運用もマネックス証券でインデックスファンドの積立を続けています。
WSJで指摘されているのは、投資家にとって魅力的なインデックス運用が市場で広がり、もし全ての人がインデックスファンドしか保有しないならば、どの証券に価値があるかを見いだす仕事を「誰もやらなくなるだろう」という懸念です。
仮に、誰もがインデックス運用しかしなくなれば、価格形成が歪み、割安・割高な銘柄が登場するようになります。しかしそうなれば、そこにアクティブ 運用の収益機会が生まれます。もし自分以外、全ての投資家がインデックス運用しているのであれば、その収益機会を独り占めすることができるのです。逆に言 えば、そんなオイシイ話があるのに、インデックス運用をする人しかいないという状態は考えにくいのです。
インデックス運用の比率が高まれば、市場の価格発見機能が低下するかもしれません。しかし、投資家全員がインデックス運用しかしなくなるという究極の状態への懸念は、人間の利益に対する欲望が無くならない限り、杞憂に終わるはずです。
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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身でお願いいたします。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年8月31日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。