きょう民進党の代表選挙が告示され、蓮舫氏、前原誠司氏、玉木雄一郎氏の3人が立候補を届け出た。このうち今まで政見を表明してきたのは蓮舫氏だけだが、産経のインタビューを読んでも、何をしたいのかわからない。「民共共闘」も継続する口ぶりだし、「憲法9条は絶対守る」ぐらいしか具体的な話はない。
世論調査でも明らかなように、国民が求めているのは「戦争法案」がどうとかいう神学論争ではなく、経済政策である。この点は蓮舫氏もわかったようで、経済政策に重点を置くと語っているが、その中身がわからない。
ゆがみというよりは、資本主義における新自由主義って何なんだろうって、立ち止まるときだと思うんですね、全世界的に。米国の決断を見てみても、ドイツの首相の判断ひとつを見てみても、やっぱり保護主義的に回帰していると思う。それは、資本主義が行き着くところの新自由主義の先には、格差というのは当然もたらされる。
これは日本語として意味不明だ。安倍政権は「新自由主義」というより、バラマキの国家社会主義だ。どうも彼女は「安倍政権は成長重視だが、私は分配重視だ」といいたいようだが、これは誤りである。成長なしで分配はできない。それは民主党政権の示した通りだ。彼らのアンチビジネス路線がいや気されて、日経平均は8000円台まで下がった。
安倍首相で株価が上がったのは、プロビジネスを打ち出したからだ。しかし彼は日本の潜在成長率を上回る「GDP600兆円」をめざして、100兆円以上のバラマキ予算を編成した。民進党が政権をめざすなら、この予算の中身を具体的に批判し、代案を出すべきだ。
それ以上に重要なのは、所得分配が大きくゆがんでいることだ。その最大の原因は、社会保障の大幅な赤字である。オフバランスの「隠れ債務」を入れると、社会保障特別会計は1000兆円以上の債務超過になっており、安倍政権は増税を延期する代わりに社会保険料を増額してこの穴を埋めている。
これは浜田宏一氏も認めるように国家的なネズミ講である。それを政府が公然とやっているのは異常だが、この問題にも民進党は沈黙している。最大の集票基盤が「年金保護組合」になった労働組合だからだ。
蓮舫氏が有利とみられているのも、連合がバックについているからだ。民進党の代表になるには労組に迎合するのが正解だろうが、それでは政権は取れない。「成長なき分配」がいかに悲惨な結果になるかを、民主党政権が見せてしまったからだ。
完全雇用に近い現状では、短期的な「景気対策」は必要ない。重要なのは労働生産性を高めて潜在成長率を上げることで、そのためには労働市場の流動化が必要だ。もう一つは社会保障のネズミ講をやめて、負担と受益のバランスを是正することだ。蓮舫氏の話を聞く限り、民進党はどちらもやる気がない。これでは政権を取れる見通しはない。