9月利上げを掲げるエコノミストは、ウォールストリートで「大胆=bold」と言われていました。
ゴールドマン・サックスのヤン・ハチウス主席エコノミストも、その一人。しかし、遂にその果敢な姿勢に変化が訪れました。
9月利上げの確率を従来の55%から40%へ引き下げたのです。主因はもちろん、米8月雇用統計。ダメ押しに米8月ISM非製造業景況指数が散々な結果となれば、予想を修正せざるを得なかったのでしょう。
サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁の発言内容も、9月利上げへのトーンを後退させたように受け止められます。同総裁は確かに「ゆるやかな利上げ」に言及したものの、8月18日の9月利上げは「理に適う」といった見解を表明していませんでした。
本日は7月の米連邦公開市場(FOMC)で利上げ票を投じたカンザスシティ連銀のジョージ総裁、リッチモンド連銀のラッカー総裁が下院金融サービス委員会の金融政策・貿易小委員会にて、米連邦準備制度理事会(FRB)の改革は必要なしと証言する予定です。議題は地区連銀の構造、並びに”金融政策運営および経済情勢との関連”においてで、民間銀行家の排除を求める米議会に反論する見通し。
9月利上げ支持派の2人を並べた理由を想像するに、長きにわたる低金利政策で金融機関を支援した(低金利で利鞘縮小も、債券引き受けなど投資銀行部門などで利する可能性があるため)との批判をかわすつもりなのでしょうか。少なくとも、9月利上げの地均しの一環と受け止めるのは単純な発想と言えそうです。
(カバー写真:Katie Killary/Flickr)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2016年9月7日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。