9月末にアルジェでOPECおよび非OPEC主要産油国による「生産据置会議」が開催されるのかどうか、まだまだ不確定要素が多いが、昨日発表された「OPEC月報2016年9月号(OPEC Monthly Oil Market Report September 2016)」はどのような影響を与えるのだろうか? 当然、OPEC各国の政策決定者にも報告されていることだろう。
FTが速報(FT Fast)として、2016年9月12日(月)20:15頃に報じている “OPEC ups forecast for non-OPEC oil output” の内容を次のとおり紹介しておこう。
・OPECは月曜日、大幅な供給過剰は2017年中続くだろうと警告を発した。
・2017年の非OPEC生産量は増加するので、OPECが現在の生産量を維持するなら、75万B/D以上の過剰となる可能性がある。
・非OPECの生産量は、2016年が前月報告比18万B/D増の、前年比61万B/Dの減少に留まり、5,632万B/Dとなろう。2017年は、前月報告比35万B/D増(15万B/Dの減少見込みだったが、20万B/Dの増加に)の5,652万B/Dになる見込みだ。
・増加する要因は、米国タイトオイルの減産幅見込みが縮小、ノルウエーの生産が見込み以上に好調なことに加え、(カザフスタンの)カシャガン油田の早期生産開始などである。
・米国のリグ稼働数は、過去11週のうち10週増加しており、米国エネルギー省も米国の石油生産量見通しを上方修正している。
・8月のOPEC生産量は、アナリスト・コンサルタントなどの二次ソースによると、3,320万B/Dとなっている。前月よりは若干減少しているが、前年同月比では100万B/D以上の増加となっている。
・OPEC原油への需要量は、2016年3,167万B/D、2017年3,245万B/Dとなる。
・サウジのファーリフ・エネルギーは先週、将来必要になるかも知れないが、今いそいで生産を制限する必要ない、と発言している。
・一方イランは、市場安定化の方策には協力するが、経済制裁前の水準、400万B/Dに達するまでは「生産据置」には応じないとしている。OPECデータによると、ここ何ヶ月間は360万B/D程度の生産水準となっている。
・アナリストは、OPECやロシアなどの非OPEC諸国が現在の生産水準で据え置くことに合意しても、価格上昇には繋がらないと見ている。
今しがた、月報の概要 “Oil Market Highlights” を読んでみたが、上記のFT記事に付け加えるべきは、次の諸点くらいだ。
・世界経済成長率: 2016年 +2.9% (前月比下方修正)
2017年 +3.1% (前月比横ばい)
・世界石油需要:2016年 +123万B/D → 9,427万B/D
2017年 +115万B/D → 9,542万B/D
うーん、なるほど。
リバランスにはもう少し時間が必要なようだな。
さて、明日、発表予定のIEA月報では、どのような需給見通しとなっているのだろう
編集部より:この記事は「岩瀬昇のエネルギーブログ」2016年9月12日のブログより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はこちらをご覧ください。