豊洲新市場の環境対策が大きな問題になっている。メディアが競って報道しているが、FNNが報じた解説にある次の一文が気になった。
都庁の職員は、この件について、「そもそも、職員間での情報共有が、きちんとされていなかったことも、原因ではないか」としている。
そこで、情報共有の状況を都庁サイトで調べた。
東京都庁は一般行政職の職員だけでも2万人近くが働く巨大組織で、豊洲新市場の主管は中央卸売市場である。「中央卸売市場」と聞くと築地市場の事務局のように思うかもしれないが、実際には産業労働局の外局で職員数は600名を超える。
都庁サイト(トップページ)で「豊洲市場」と検索すると、中央卸売市場が関連資料を多く公開していることに気付く。メディアが盛んに利用している「豊洲市場に関する会議資料」もここにある。
それでは、産業労働局のトップページを開いてから、「豊洲市場」とサイト内検索するとどうなるだろうか。驚くことに、「豊洲市場に関する会議資料」は一切検索されない。同様に、環境局のトップページを開いてから「豊洲市場」とサイト内検索しても、化学物質・土壌汚染に「該当する検索結果が見当たりません。」と表示される。「東京ガス」でも、何も出てこない。
つまり、こういうことだ。豊洲への市場移転には、土壌汚染が壁として立ちはだかった。しかし、東京都組織条例で「公害の防止、自然環境の保全、廃棄物対策その他の環境の保全に関すること」を分掌事務とする環境局は一切関与してこなかった。だから、記録がサイトに残っていないのである。事情は産業労働局も同じ。都庁内では、豊洲市場は中央卸売市場の専権事項であったことがわかる。FNNの取材では情報共有が不足していたと反省している職員もいるようだが、根は深い。
ところで、もう一度、都庁トップページ、中央卸売市場、産業労働局、環境局のページを開いてほしい。レイアウトも色使いも全く異なっているのに気づく。各局が勝手にサイトを作っている、ここに、情報共有すらできない縦割りの姿が象徴的に表現されている。小池知事の戦いは都庁組織の在り方そのものを変革していく戦いである。