9月29日にオリンピック・パラリンピックの調査報告をします

上山 信一

ローマが2024年オリンピックの招致を取りやめた。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2016092200021&g=spo
市民の負担の重さを考えてのことらしいが、一つの見識だろう。さて、東京はどうか?

都政改革本部の特別顧問となって3週間が経ちました。この間、私は主にオリンピック・パラリンピックの調査をやってきました(統括特別顧問として内部統制チーム、情報公開チーム、各局の自律改革のガイダンスも担当しつつ。ただし、築地問題にはあまりかかわらず)。

幸か不幸か9月は大学はまだ夏休み。泣く泣く海外出張を取り消して、週に3日くらいのペースで都庁に通いました。

調査チームは本部の事務局スタッフ4、5名、そしてコンサルタント出身の参与2名、調査員1名の小部隊です。しかし、オリパラ準備局の皆さんにも手伝ってもらって作業を進めてきました。都庁内の資料とデータの分析やインタビューがだいたい終わり、最近はアスリートや競技団体の話を聞き、さらに組織委員会のヒアリングを始めたばかりです。

4年先のことで決まっていないことが多く、たいていの関係者はオリンピックの素人です。ふつうの経営コンサルティングに比べると調査は難しく、また詳細な評価にはロンドンとのベンチマーキングが必要になりそうです。

それでも、この3週間でいくつかの発見がありました。

①オリンピック開催には、かなりのお金がかかりそう。
②オリンピックの準備は、ふつうのイベントや公共事業とは異なる複雑なエンジニアリング的プロジェクト(電車を止めずにやる都市再開発のようなもの)。しかも短期決戦。
③しかし、ふつうのお役所仕事の体制と仕組みでやっている・・感じ
④全体に秘密主義、情報公開に消極的

こんななかでやっている人たちは一生懸命だけど全体が見えず不安。見ている側も不安という世界です。

そこで知事と相談し、今月29日10時からの都政改革本部会議では、これまでに調べてわかったこととわからないことを整理していったん報告(あわせてプレスにも情報公開)することにしました。

わずか3週間の調査ですから、わからないことだらけで立派な調査報告書にはならない。しかし広く課題を公表し、いろいろな人たちに今後の打開策を考えてもらった方がいい、それこそがオリンピックへの「参画」の始まりかもしれない・・と考えました。

当日は30-40分くらいのプレゼンテーション、さらに記者レクをやるつもりです。そこでは10月から都庁と組織委員会がどういう体制で課題を解決すべきかも提案するつもりです。

ちなみに調査チームの指摘を受けて、各局でも一部の方針変更が始まっています。また、少なくとも都庁は積極的な情報公開を始めました。当日は局長さんたちからも都民が抱くオリンピックへの疑問に対し、Q&A方式で情報公開をしていただく予定です。また、都庁の外郭団体である組織委員会の指導と監督の問題についても問題提起する予定です。


編集部より:このブログは慶應義塾大学総合政策学部教授、上山信一氏のブログ、2016年9月22日の記事を転載させていただきました(アイキャッチ画像は東京都サイト「知事の部屋」より引用)。転載を快諾いただいた上山氏に感謝いたします。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、上山氏のブログ「見えないものを見よう」をご覧ください。