蓮舫10月9日に議員辞職しないと6年間空席

八幡 和郎

参議院選挙区では通常選挙における当該選挙区の議員定数(改選議席数)の4分の1を超えるとき(東京都選挙区、神奈川県選挙区、愛知県選挙区及び大阪府選挙区で2人、それ以外では1人)にのみ補欠選挙が行われる。また、死亡・辞職・失格などで欠員が出たときは、3か月以内なら次点者の繰り上げ当選である。

つまり、蓮舫さんが10月10日以降に辞職した場合には、ひうひとつ空席が出ない限り六年後まで議席は空席になる。東京都民にとって参議院議員が一人減ることは、五輪などをひかえてかなりの打撃のはずだ。その意味で、二重国籍をめぐる辞職であれ、衆議院転出であれ、辞職することは重大な損害を地元に与えるが、この視点が論じられないのはおかしい。

私はこうした場合は、そもそも、代表に選ぶべきでないと思う。二重国籍の国会議員については、私は、一般論としてはたとえ解消したとしても、辞職すべきだと思う。理由は、公職選挙法で禁じてないのは、それを肯定しているのでなく、日本の国籍法ではだめだとし、そんな人が国会議員になるなど想定外なのであり、禁じてないのは法の瑕疵であって、故意であれ過失であれ議員たる資格がないと思う。

しかし、これは、議論の余地があるところであり、国会でしっかり議論して、現在、二重国籍の議員はすみやかに離脱するか辞任するかしろとするか、法改正のなかで扱いを決めるかするという議論を否定しない。ただし、もうひとつ困るのは、経歴詐称の問題だ。経歴詐称として法的に失格かどうかは、ここでは議論を避けるが、道義的には悪質な場合には辞職すべきだ。もっとも軽微なのは二重国籍状態を本当に知らなかったケースだが、蓮舫さんの場合には、本人の白々しい知らなかったという弁明は通用しない。マスコミにさんざん二重国籍だといいながら、「あれは嘘をいってたつもりだが、本当だったとは」なんぞふざけている。

さらに、帰化についての誤った経緯を公式の場で伝えてきたので何も書かなかったことに比べて罪は重いし、今回の騒動で素直に事実を認めるどころか、私たちのような正当な指摘をしたものに、誹謗中傷を繰り返した。これは、騒動が決着したときに十分に辞職にあたいすることは明らかで、それが分かっている以上は、10月9日までに辞職して次点者(田中康夫氏)に議席を譲り、6年間空席となる愚を回避する道義的責任がある。

小野田さんの場合は、上記の一般論にしたがって扱うべきだが、蓮舫氏がやめるなら一緒にやめたほうが綺麗だし、やめなければ、より軽微な小野田氏だけ止めるべきとは言わない。なお、アメリカと台湾の違いだが、アメリカとなら良いということはない。同盟国とはいえ利害が対立することは多い。ほとんど利害が対立しないペルーとの二重国籍とはわけが違う。

ただ、尖閣という問題を抱えていること、蓮舫氏自身がひとつの中国原則を持ち出しているなど中華人民共和国に対する特別の立場を取っている以上は、台湾というだけでなく「ひとつの中国人」という立場もあるわけで、これは日本の首相になるには、一般的な二重国籍を超えた問題があるのは間違いない。いま日本がもっとも対立している国なのである。たとえば、アメリカがロシアとの二重国籍で、しかも、それを隠していた政治家を大統領に選ぶとは思えない。