なぜANAはプノンペン直行便を就航したのか?

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今週末はスタディツアーでプノンペンに行きます。9月から成田―プノンペンの直行便が就航して、乗り継ぎ無しでカンボジアの首都に行けるようになりました。ただし、羽田ではなく成田なのがちょっと残念です。成田のANAのラウンジ(写真)は、快適ですが・・・。

カンボジアには世界遺産のアンコールワットがあって、拠点となるシェムリアップにはたくさんの観光客が押し寄せますが、首都プノンペンはビジネス以外で出かける人はほとんどいません。毎日1便就航させて、果たして乗客がいるのか心配になります。ANAがプノンペン直行便を就航させたのはなぜなので しょうか?

プノンペンの経済成長は新興国の中でも抜きんでています。カンボジアの経済成長率は年7%前後で推移しています。7%成長が10年続けばGDPは10年で2倍になる計算です。年に数回プノンペンに出かけてみると、わずか数か月で街並みがどんどん変わっていく姿に驚きます。

日系企業の進出も加速しています。プノンペンの中心部に開店したイオンモールは、現地の人たちの最大のエンターテイメントスポットになっているよう で休日は多くの人で賑わっていると聞きます。イオンモールはプノンペン郊外に2号店の開店も進めているようで、その中に入る日本企業のテナントも増えています。空港には新しいターミナルが完成し、スターバックスも進出しました。吉野家もありますが、日本より高価格のようです。

他にもタマホームがタマホテルを運営したり、東横インが開業したりと日系企業の進出が続いています。

これらのビジネスに関わる日本人のビジネスユースに対応して、直行便が就航したのでしょうか。しかし、大手企業の進出はまだほとんどなく、オーナー 系企業や中小企業の進出がほとんどです。フライトの座席配置を見ても、ファーストクラスはなく、ビジネスクラスのシートの数もあまり多くありません。今後の経済成長を見越した、先行投資なのかもしれません。そう言えば、以前、スカイマークもプノンペン進出を画策して断念したことがありました。

もう1つ考えられるのが、政治的な要因です。カンボジアは親日国ですが中国との関係も深く、政治的に東アジアの重要な国になっています。プノンペン市内には日本のODAと中国の経済援助が競い合うようにインフラ整備を進めており、安倍首相がカンボジアを訪問すれば、習近平国家主席もそれに続くという具合で、日中両国の動きが加速しています。

直行便就航の本当の理由は私にはわかりませんが、カンボジアの首都のプノンペンの経済的、政治的な重要性がこれから益々高まっていくことは確かなようです。

久しぶりのプノンペンですが、現地で感じた変化を読者の皆様にお届けしたいと思います。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年10月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。