即戦力になる人材はどこでも求められているが、即、戦力になるような人がどの程度いるのかは甚だ疑問である。
行政の経験がない人が行政の現場で即戦力になるかと言われれば、まずそんなことはない。
行政の現場で日々生起する様々な課題に迅速かつ適切に対処するためには少なくとも当該行政の実務に精通していなければならないから、行政の現場で仕事をしたことがない人の場合はまず即戦力になることはない。
どんなに可能性のある有望な若者であっても、やったこともない仕事を割り当てられて、これをいつまでに上手く仕上げろ、などと求められても無理と言うもの。
経験のない人は、絶対に即戦力にはならない。
経験があっても、上手く処理したことのない人はやはり失敗する可能性が高いから、こういう人も即戦力と見做すわけにはいかない。
即戦力になるような人は、鉦や太鼓と叩いてもそんなに簡単に見つけられないものだ。
政治家の場合は、どうか。
国会は法律を作ったり、行政府の監視などをして行政全般の適正化を実現する場だと見做せば、法律制度の運用にあたったり、なんらかの法律制度を作る経験をした人はそれなりに即戦力として評価割いていいのだと思う。
しかし、法律制度の運用に関わった経験が一度もなく、何らかの法律制度を作るための運動の先頭に立ってきた人ならともかく、それまで一度も法律制度を作ることに関わったことのない人の場合は、国会議員になっても普通の場合はとても即戦力にはならない。
法律家や官僚出身者はそういう意味では即戦力になる資格をそれなりに有しているとは思うが、それでも本当の即戦力になる人はごく僅かである。
与党の場合は、やはり即戦力になる人が立候補してくれるのがいいと思うが、私が、おやっ、と思ったのは、野党の幹部が野党の候補者を紹介するのに、即戦力になる候補者です、と言っていたことだ。
野党の候補者で即戦力になる人ってどんな人だろうか、という素朴な疑問である。
政権党の国会議員の場合は、確かに具体的な法律制度の運用について色々注文を付けたり、その改善を提案したり、時には法律の改正や新たな法律制度の創出に貢献できる可能性が高いだろうが、政権の外にいて、大体は反対、反対の声を上げるだけに終わってしまうような政党の場合は、どうも世間で言うような即戦力は求められていないのではないかしら。
弁舌爽やかで、理路整然と反対の声を上げることが出来る、とか、身体が大きく、いざという時は与党の強行採決を阻止できるだけの人並み優れた体力の持ち主だ、というのが野党の候補者に求められている即戦力ということだろうか。
野党の候補者が標榜する「即戦力」って、ナーニ。
細野さんに対する質問である。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2016年10月21日の記事を転載させていただきました(アイキャッチ画像は民進党サイトより)。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。