足なめ男にご用心!その時あなたはなにを考えるか

尾藤 克之
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インタビューに協力いただいた大類織絵氏。

衝撃的な事件が発生した。嫌がる女性の足を約35分間なめ続けたなどとして、京都府警生活安全対策課などが、強制わいせつ容疑で、京都市伏見区の配送業アルバイトの男(56)を逮捕した事件である(京都の足裏なめ男再逮捕 ついたアダ名が「妖怪あしなめ」)。

「女性はなぜ逃げなかったのか」「スマホで撮る時間があれば逃げられた」などの意見もあるが、同様の危険にさらされた時はどうすればよいのだろうか。その秘訣を女性空手家に聞いた。今回、インタビューした大類織絵(以下、大類)は、父親が剛柔流(空手の流派)の師範だったこともあり、子供の頃に剛柔流で黒帯を取得している。

実績は、全国空手道選手権大会県大会優勝、同全国大会出場、2014年ジャパンオープン硬式空手道選手権大会(成人女子の部、型・組手優勝/世界硬式空手道連盟主催)、月刊空手道杯優勝など輝かしい。最近では、結婚・出産を機にはじめた、空手をベースにしたエクササイズ方法が話題になり、TBS-BS「美容口コミ広場TV」、NHK-BS1「美スポ!スポーツでキレイに!」などの出演実績がある。

■凍りつき症候群が原因だった

まず、大類は、ワイドショーも理由の核心を突いていないと述べている。逃げなかったのではなく「逃げられなかった」。では、なぜスマホで撮ることはできたのだろうか。

「よほど怖かったのでしょう。逃げなかったのには理由があると思います。スマホで犯人を撮る時間はあったのに逃げなかったことに違和感を感じている人がいるようですが、勇気ある行動だと思います。まず、理由は“パニック”が挙げられます。不意の事故や災害に見舞われた場合、70~75%の人が何もできない状況になるとも言われています。」(大類)

これは、『Aviation,Space, and Environmental Medicine』に発表されたイギリスの心理学者ジョン・リーチ博士の研究でも明らかになっている。まず、運悪く不意の災害に見舞われた時、人の取る行動は次の3つにカテゴライズされる。
1.落ち着いて行動できる人=10~15%
2.我を失って泣き叫ぶ人=15%以下
3.ショック状態になり呆然として何もできない状態になってしまう人=70~75%

以上から、大多数の人が発災時にショック状態となり、呆然として何もできない「凍りつき症候群」に陥ってしまうことがわかる。博士は、9/11(米国同時多発テロ事件)の生存者900人に行ったインタビューの結果から、飛行機衝突の衝撃後から避難を始めるまで平均6分かかっていたことを明らかにしている。

「ここで使用されている、『凍りつき症候群』という表現はしっくりきます。護身術教室の生徒さんからも聞きますが、ちょっと怖い思いをしたときはパニックに陥ったり、恐怖で固まって動けなかったという声が多いです。これを避けるための一番の対処方法は、この心理を覚えておくことでしょう。パニックに対する自己認識を高めることです。」(大類)

「危険な目にあったら、自分自身に『危険な状態だ』とシグナルを送り続けて『絶対逃げ切ろう!』と強く意識付けをして行動に移すことです。逃げなきゃではなく『逃げ切ろう!』と肯定しなければ行動に移せません。」(同)

この調査結果を知っているのと知らないのとでは、結果に大きな影響を及ぼす可能性がある。啓蒙のためにも覚えておきたい。

■夜道の危険はこうやって回避する

また、暗い夜道では見知らない車とは距離をとり、話しかけられても決して対応などをしてはいけないとしている。

「距離をとり、近寄らないことが鉄則です。つかまれば車内に引き込まれる危険性もあります。また、夜道で後をつけられた場合は対処法があります。後をつけられていると思った場合は慌てずに大きな通りに向かってください。大きな通りや人通りのある場所で立ち止まり通りすぎてもらうのです。」(大類)

「その人が何故か抜かさない、抜かしても近くにいる場合は狙われている可能性があります。必ず人を呼ぶかタクシーなどで帰りましょう。」(同)

不審者に追いかけられて部屋に逃げ込むことも要注意らしい。住んでいる部屋を不審者に教えてしまうからだ。さらに、怖いのは追いつかれて部屋に進入されること。犯罪の半数以上は室内で発生している。アパート、マンションの廊下であれば誰かしらが居るので、廊下で助けを求めることが安心とのことだ。

ここまで、危険に直面した際に役立つ情報を挙げてきたがこれらは一例である。護身術の教室に通うなどしてスキルを高めることが最も有効な手段であることは言うまでもない。

尾藤克之
コラムニスト

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