11月8日の米大統領選挙を経て、第45代大統領に不動産王との異名を持つドナルド・トランプ氏が就任します。
歓喜に沸く米国民が存在する一方で、リベラル派は絶望に打ちひしがれています。デモ隊と化して暴走する方々もいらっしゃいますが、さらに上を行く運動が巻き起こりつつあるんですよね。
それが、Calexit。英国の欧州連合(EU)離脱を指すBREXITに因んだ言葉です。米国でにわかに取沙汰されるこのCalexitは何を意味するかと申しますと・・・・カリフォルニア州の米国離脱です。
カリフォルニア州と言えば世界でのGDPで見た場合フランスを抜いて6位の規模を誇り、IT産業のメッカとして知られシリコン・バレーを有します。そのIT産業と言えば、アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)をはじめ民主党のヒラリー・クリントン候補を支持していました。トランプ候補自身、アップルの主力製品iPhoneを中国ではなく米国で製造すべきと主張していたことが思い出されます。しかしトランプ候補が勝利したため、クックCEOは新政権が船出する前に従業員に書簡を送付しました。
クリントン陣営の副大統領候補リストには、ティム・クックCEOやマイクロソフト創立者のビル・ゲイツ氏の名前がありました。
(出所:iphonedigital/Flickr)
その理由の一つに、移民問題が挙げられます。IT産業と言えば、インド系を中心に専門職向けのH1Bビザを活用し優秀な人材を採用してきました。政権交代で移民政策が厳格化される恐れがあるだけに、対応せざるを得なかったのでしょう。トランプ候補はアップルだけでなくしグーグルにも検索結果のネガティブな内容を理由に口撃し、フェイスブックに対しても移民問題に絡み批判した過去があります。こうした事情が米大統領選挙明けの株価にも現れました。
カリフォルニア州で米大統領選挙以前から展開され2019年春に独立を目指した独立運動がトランプ新大統領を迎えるにあたって拡大しつつあり、遂にはオレゴン州にも飛び火しています。IT産業とリベラル派が結託し、Calexitは実現するのでしょうか?そもそも米国離脱と言えばオバマ政権に辟易したテキサス州が有名ですが、水泡に帰す結果になったのはご案内の通りです。
トランプ新大統領の誕生で揺れ動く米国。まだまだ、混乱は収まりそうにありません。
(カバー写真:Patrick Berry/Flickr)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2016年11月13日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。