なぜ大手広告代理店とのミーティングは人数が多いのか問題

常見 陽平

常見1117

連合主催の長時間労働是正に関する記者勉強会に登壇。満員御礼。穏やかにするつもりだったのだが、荒ぶってしまい、結局、アジ演説をしてしまった。もっとも、私のアジ演説は決して上手くはない。そしていつもの言い回し「◯◯という美名のもと」とか「欺瞞に満ちた◯◯に正義の鉄槌を」など言い忘れたのは、痛恨の極みである。

たくさんの質問が出たのだが・・・。電通問題の話なども出た中、その流れで「大手広告代理店との打ち合わせは、なぜ人数が多いのか?発言する人が少ないのに。ムダではないか」という趣旨のご質問を頂いた。その場でも一応、答えたのだが、改めて帰宅して考えてみた。

なるほど、たしかに電博さんに限らず、広告代理店の方とのアポは人数が多い。6人くらい出てきたりする。その場でもご指摘頂いたが、リードボーカル的に喋る人は1、2名くらいだ。何も話さないのについてくる人がいたりする。

ただ、この件、広告代理店に限らず、大手企業のあるある話ではないかとも思った。ベンチャー企業でも、上場していて従業員も1000名以上いるような会社と打ち合わせすると大勢出て来るし。別に会議限らず、メールのやり取りでも、スゴイ人数が出てきたりする。

大手広告会社に勤めている先輩ともやり取りをし、理由を考えてみた。

1.あとで伝言ゲームをするよりも、その場で現場社員から決済者まで情報共有できるから実はスピーディー。

2.役員から現場の実務担当者まで揃うと、普通にそれなりの人数になる。

3.2に関連して、「いるだけ」と思われるかもしれないが、先方も同じくらいの役職を連れてくるのではと思ったりし、人数が肥大化していく。

4.専門が細分化されており、普通にチームで仕事しているし、何にでも答えようとすると大人数にならざるを得ない。

5.その場で何も言わなくても、あとでアイデアを出したり、アドバイスをしたり、若手を教育したりと、実は後で活躍する人というのがいる。

6.進捗、リスクなどもろもろの管理。

7.コスト意識の欠如。

こんな感じ?

一部、かぶっているかもしれないけど。

あと、人数の多い少ないって、簡単には論じられない。調査もおそらく困難で(データあるかなあ)。結局、自分が普段出ている会議、これまで出た会議や打ち合わせとの比較とか、自分が理想とする会議との差でしかないのかなと思ったり。

よく働き方改革文脈で「人数が多くてダラダラした会議」みたいな指摘があり、正しい部分もあるのだが、本当にそれはムダなのかといえる考え方もあって。要するに投入した分に対するリターンがどれだけだったのかという話だ。

そのリターンも短期では見えない部分もあり。効率化を追求すると、逆に将来につながるネタが出てこないというのもあり。さらに、その場で何も言わない上司も、誰を抜擢するかとか、それぞれどうマネジメントするかの情報収集の場になったりもし。

要するに人数が多いとか、長いとか「だけ」で批判するのはあれで(長いは労働時間に絡むからあれだが)、投入量分、ワークしたかどうかが大事だなという話。

個人的には、会議ではいかに面白いこと、建設的なことを言うのかを大事にしている。ただ、学内外の様々な会議に出ており。本当は、それぞれの会議の性質を理解しないといけないのだけど、考えすぎると疲れるし、自分にストレスがたまるようなことはよくないなあと思うので、あまり考えずに自分にとって気持ちいいようにしている。

会議は深い。

備忘録として。


編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2016年11月15日の記事を転載させていただきました。転載を快諾いただいた常見氏に心より感謝申し上げます。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。