ネットに掲載される選挙公報は視覚障害者にはないも同然

音喜多 駿

こんにちは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。

昨日は総務委員会にて事務事業質疑。4局に渡って様々な点を取り上げましたが、選挙管理委員会に対しては主に

「選挙公報のネット掲載」

について質問・提案を致しました。

提案内容は大きく2つ。

●「過去」の選挙公報についても、各自治体のホームページに掲載しておくべし!
●PDF形式での掲載になっており、読み上げソフトが対応できない=視覚障害者への対応ができていない点を改善するべし!

まず前者について、投票の際に多くの人が参考にするだけではなく、選挙公約のカタマリである選挙公報は、当選した政治家が「きちんと約束を守っているか?」を確認するために非常に有効です。

とはいえ、紙の選挙公報を後生大事に取っておく人は希少ですし、自ら選挙公報を自身のホームページに残しておく政治家もほとんどいないことから、これを行政がカバーして掲載しておくことが望まれます。

ルールとしては2015年5月に総務省から、

「過去の選挙公報は、現在のものと混同されない形であれば掲載を続けても差し支えない」

という通知が正式に発令され、当該政治家が現職である間は過去の選挙公報が掲載されている状態が望ましいとされています。

ところが都内各自治体のホームページを見ると、過去の選挙公報は掲載されていないか、掲載されているとしても到底見つけることができないということが多々あります。

この点について東京都選挙管理委員会に問いただしたところ、

「区市町村選挙管理委員会との会議や研修会を通じて環境づくりを行っていく」

と前向きな答弁がありましたので、改善が進んでいくのを期待したいところです。

そして後者は、障害者対応の問題と密接に関連します。

こちらは都立病院のメール対応同様、以前から取り上げて提言していることの一つなのですが…

選挙公報のネット掲載は現在PDF形式のみとなっているため、音声読み上げソフトが対応できません。

つまり、視覚障害をお持ちの方にとって、ネットに掲載されている選挙公報は「ないも同然」ということです。

これは当事者や支援団体からも改善提案が多く出されている点なのですが、平成24年3月29日総務省通知において「PDFファイルとする」というルールが通達されており、いまだに変更されていません。

今年4月から障害者差別解消法が施行され、2020年にはパラリンピックを控える首都東京都において、いまだにこのような稚拙な対応で良いのでしょうか?

この点について都選挙管理委員会の答弁は、

「総務省の通知がPDFであるので、それに準じて行っている」
「読み上げソフトではイラストなどに対応できない」
「テキストデータの場合、改ざんされる恐れがある」

などを理由にあげ、実質ゼロ回答という残念なものでした。

確かに選挙公報にイラストを使う候補者は存在しますが、それ以外のところを対応するだけでもまったく違います。

そして再三にわたって今日、都選管が理由としてあげていた「データ改ざんの恐れ」についても、膨大な行政データが公開されている中で、なぜ選挙公報の改ざんだけを過剰にPDF化によって守ろうとするのか腑に落ちません。

たしかに物事にリスクはつきものですが、視覚障害者のために公開されるテキストデータが改ざんされる可能性が果たしてどれだけあるのか、杓子定規な規定で考えるのではなく冷静に見極める必要があると思います。

とはいえ一点目の「総務省からの通知」を金科玉条にされると、地方自治体としては対応しづらいことも確かです。

ここについては国会議員の方々にぜひ頑張っていただきたいところですし、私も世論から後押しをできるよう、地方議員の立場から引き続き情報発信と政策提言を続けていきたいと思います。

本日はその他にも様々な分野に対して質問を行いましたが、明日以降も質問ラッシュのため、また折りを見て順次取り上げていきますね…。

それでは、また明日。

おときた駿 プロフィール
東京都議会議員(北区選出)/北区出身 33歳
1983年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループで7年間のビジネス経験を経て、現在東京都議会議員一期目。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、日本初のブロガー議員として活動中。

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