【映画評】イタズラなKiss THE MOVIE ハイスクール編

落ちこぼれのおバカ女子だが明るく前向きな高校3年生の相原琴子は、入学式の日にひとめぼれした、頭脳明晰、スポーツ万能、イケメンの入江直樹に思い切って告白する。だが、冷めた性格の直樹から「頭の悪い女は嫌いなんだ」と、見事にフラれてしまう。そんな時、欠陥住宅だった自宅が崩壊。父と琴子は、父の高校時代からの親友宅に居候することになるが、そこは直樹が住む入江家だった。2年も片想いしてきた相手とひとつ屋根の下で暮らすうちに、琴子は直樹への思いを募らせていく…。

日本のみならずアジア各国でドラマ化・アニメ化されてきた大人気少女コミックを実写映画化した青春ラブ・コメディー「イタズラなKiss THE MOVIE ハイスクール編」。劇場版は全3部作になる予定で、本作が第1作となる。作者の多田かおるの急逝によって未完となった原作を、作者と交流があり、ドラマ化の企画にも携わってきた溝口稔監督が映画化した形だ。ドジだがポジティブな女の子と、イケメンのツンデレ男子との恋模様は、昨今の青春学園ドラマの定番のスタイル。目新しさはまったくない。ただ、伝説的な原作の人気は相当なもので、映画「聖の青春」の主人公が、この少女漫画を愛読していて、作者の急死により入手困難になったコミックの最終巻を探しているという設定があったほどだ。フレッシュな若手俳優が揃うが、彼らの演技が稚拙なのはご愛敬。だが原作のビジュアルにはかなり近いのではないだろうか。今回の映画の演出は、危なげないとはいえ、恋する相手との同居、学園生活でのドタバタや壁ドンなど、既視感があるものばかり。通称「イタキス」と呼ばれ、少女漫画の金字塔である原作コミックが連載されていたのは1990年代なので、21世紀の今、映像化するにはもう少し工夫がほしい。
【20点】
(原題「イタズラなKiss THE MOVIE~ハイスクール編~」)
(日本/溝口稔監督/佐藤寛太、美沙玲奈、山口乃々華、他)
(新鮮味度:★☆☆☆☆)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2016年11月27日の記事を転載させていただきました(アイキャッチ画像は公式Facebookより)。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。