トランプ・ラリーの陰で、2017年利上げ観測は限定的という不思議

安田 佐和子

Wall Street Bull

“トランプ・ラリー”に酔いしれたマーケット、週明け15日は正気を取り戻し始めたのでしょうか。それとも、ドル高・金利上昇の影響を冷静に織り込み始めたのでしょうか。小型株指数ラッセル2000は15日連騰にようやくブレーキが掛かり、ダウとS&P500も4日連続での終値ベースでの最高値更新も一服しています。

マーケットはインフラ投資拡大・減税・規制緩和のトリプルプレーを念頭に入れた成長・インフレ加速を期待し、力強い右肩上がりを遂げてきましたよね。おかげで米2年債利回りは2009年以来の高水準を達成したものです。12月利上げは11月FOMC議事録もあって、done deal。その割に、比較的静かな市場こそFF先物と言えるでしょう。2017年12月限は確かに反応しましたが、年初来の1%台へ切り返した程度です。米株や米債利回りと比較し、小幅な動きにとどまっています。

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(作成:My Big Apple NY)

財政拡大で成長・インフレ加速シナリオを見込むのであれば利上げペースに拍車が掛かってもおかしくないというのに、慎重そのもの。FF先物市場の見立ては、金利上昇・ドル高といった引き締め効果を織り込んだものなのか。あるいはインフラ投資・減税・規制緩和が期待通り進まず利上げペースは変わらないと予想しているのか。FF先物2017年12月限の動向は、“根拠なきトランプ政策への熱狂”に疑問を呈しているかのようです。

(カバー写真:Jean-Baptiste Bellet/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2016年11月29日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。