【映画評】ブレア・ウィッチ

ブレア・ウィッチ

ショウゲート提供

アメリカのメリーランド州にあるブラック・ヒルズの森で、魔女をめぐるブレア・ウィッチ伝説のドキュメンタリーを作ろうとした、ヘザーら大学生のグループが消息を絶つ事件が発生。それから20年後、ジェームズは姉ヘザーが映った映像を、YouTubeで見つける。姉を救い、ブレア・ウィッチの謎を解くために、仲間と共に、森に足を踏み込んだジェームズだったが…。

低予算ながら世界的な大ヒットとなった「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」(1999年)の正当な続編「ブレア・ウィッチ」。POV(ポイント・オブ・ビュー、一人称、主観ショット)を駆使した映像やファウンドフッテージ(撮影者が行方不明になったため、埋もれていた映像という設定。モキュメンタリーの一種)という手法は、世界的な大ブームとなった。「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」は、映画の「2」やパロディー作品、関連書籍など、幅広い広がりを見せたが、本作は、同じ監督による“正当なる続編”という位置付けだ。なるほど、森という異界、魔女伝説、怪奇現象、疑心暗鬼…と、演出は手堅いし、ドローンやヘッドセットカメラなど、20年後の現代ならではの最新技術もきっちりと取り入れている。森に足を踏み入れるメンバーの動機が違うため、それぞれの心理描写も丁寧な印象だ。

だが、正直に言うと、まったく驚きがない。魔女伝説は相変わらず恐るべし!なのだが、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」を見た観客は森に“何か”がいることをすでに知っている。しかも20年もたったのに、何も解決していない。これでは、メンバーを変えて、永遠に続編ができてしまうではないか。ファンの期待が大きいだけに、新味がない内容では、がっかり感だけが残ってしまうだろう。ただ、この続編という縛りの中で、前作のテイストを損なわず演出したアダム・ウィンガード監督の挑戦は評価したい。
【50点】
(原題「BLAIR WITCH」)
(アメリカ/アダム・ウィンガード監督/ヴァロリー・カリー、ジェームズ・アレン・マキューン、ウェス・ロビンソン、他)
(新鮮度:★☆☆☆☆)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2016年12月2日の記事を転載させていただきました(アイキャッチ画像はショウゲート提供)。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。