予想されたこととはいえ、イタリア国民投票の結果はたいへん残念。
イタリアではムッソリーニに懲りて強い政府の出現を防ぐ選挙制度がとられ毎年のように政権がかわり、政治の混乱が経済にも大きな悪影響を与えていた。
そこで、選挙制度が改められて、第一党が自動的に下院の過半数を取れるようになった。
それを受けて左右の二グループが結成され、とくに、左派の「オリーブの木」は有名。ただし、共産党は解体され、その穏健派からキリスト民主党左派までが糾合して民主党をつくった。
一時期は右派がベルルスコーニというトランプ風のスターをえて優勢だったが、左派がフィレンツェ市長だったレンツィという若手のホープを得て選挙に勝った。橋下徹をスマートに、リベラルにした感じだ。
そのレンツィが、日本以上に強力でねじれ状態の頑強である上院(首相指名にも関与できる)を解体して事実上の一院制に近いものにしようとしたのが今回の国民投票だが、ちょっと自分の人気を過信して、信任をかけてしまったので、倒閣のチャンスと、右派。極右チックな北部同盟、それに極左ポピュリストの五つ星の野合連合が手を結んでノンをつきつけた。
レンツィは約束通り辞めざるを得ず、金融危機にイタリアは陥るかもしれない。
ヨーロッパにおける左派の希望の星だっただけに民進党にとっても残念だろう。モデルの一つが消えたのだから。
また、サミットでは安倍首相がもっとも信頼していたのがレンツィだ。というか安倍首相の弟分的存在だったし、来年のシチリア・サミットではレンツィと安倍でトランプとほかの首脳の橋渡しが期待されていた。
その意味で安倍首相にとっても民進党とは別の意味でたいへんな痛手だ。