本日の日本経済新聞朝刊に、アパートローン急増に金融庁が懸念を示しているというニュースが報じられています。2015年の相続税の計算方法改正によって増税になる人が増え、節税目的でアパート経営を始めるシニア層が増えたもののうまくいかないケースが増えていることが背景にあるとしています。
来年早々から金融庁が、地方銀行105行からアパートローンの残高を伸ばしている銀行を抽出し、聞き取り調査を行うそうです。金融機関全体がアパートローン融資に対して、急激に融資姿勢を変えることが予想されます。
アパートローンで失敗する原因は、甘い提案書で無知なシニア資産家にセールスしているアパート建設業者にあります。家賃保証であたかも利回りが預金のように保証されているかのように錯覚させ、本来の賃貸ニーズの無い場所に無理やり低コストの木造住宅をローンを組んで建てさせる。
建物の劣化と賃貸ニーズの低さから、借り手が見つかりにくく、賃貸経営が破たんする可能性が高いのは明らかです。
空地にアパートを立てて収入を得るというのは、最初に土地ありきでそれを利用して儲けようという「供給者の論理」です。郊外の駅から遠い賃貸ニーズがそもそも無い場所は、不動産経営に向かない場所なのです。
同じ賃貸住宅でも都心のワンルームマンションは、投資家目線で物件が選択されますから、「需要者の論理」で立地が決まります。賃貸ニーズが低い場所に建設しても、オーナーになる投資家が見向きもしませんから、駅近の利便性の高い場所にしか建設されないのです。また長期的な資産価値の維持も求められますから、木造ではなくRC(鉄筋コンクリート)で劣化しにくい建物構造になります。
今回の金融機関への調査は、銀行の貸し倒れリスクではなく、ローンの借り手の実態把握に力点が置かれるそうです。同じ不動産投資をしている個人でも、都心中古ワンルームとアパート経営ではまったく別物ですが、アパートローンへの消極姿勢が他の不動産投資への融資スタンスに影響しないか心配です。
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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年12月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。