歓迎、情報分野のユニバーサルデザイン

ゆうちょ銀行が、ATMの画面を見やすくリニューアルすると12月16日に報道発表した。色覚には個人差があるが、できる限り多くの人に見やすいように配慮した色使いがカラーユニバーサルデザインで、ゆうちょATMに採用された。

報道発表にはリニューアル前後の画面イメージが添えられている。左がリニューアル前、右が後である。左の画面で青のボタンに「お引出し」という白文字が付いて見える人は「C型色覚」で、日本人男性の95%、女性の99%が相当する。

Kazunori Asada氏が提供する「Chromatic Vision Simulator – Web Edition – 1.11」で、「P型色覚」の人の見ているものに変換しよう。それがこの記事のアイキャッチ画像である。リニューアル前は、ボタンの地の色と白文字のコントラストが弱く見にくいことがわかるだろう。

リニューアル後の画面はC型色覚にもP型色覚にも見やすい。さらに、フォントサイズも大きくなって、使いやすいATMに改良された。

12月15日には、ユニバーサルデザインに配慮した公共図書館システム「ELCIELO」を提供すると、京セラコミュニケーションシステムが報道発表した。蔵書検索の画面はカラーユニバーサルデザインの原則に沿い、音声読み上げソフトにも対応している。

総務省は「みんなの公共サイト運用ガイドライン」(2016年版)を4月に公開し、高齢者や障害者を含む誰もが利用しやすいものとなるよう、公的機関サイトの改善を求めた。銀行ATMや公共図書館システムの改善は、ガイドラインと方向を共にするもので歓迎したい。

些細なことだが、公共図書館システムの報道発表の中に「「みんなの公共サイト運用ガイドライン2016年版」に準拠した画面レイアウトにすることで……」という表現があった。しかし、ガイドラインは画面レイアウトについて何も規定していないことを、ガイドラインを作成する研究会で座長を務めたものとして付言しておく。公的機関は、ユニバーサルデザインに配慮したうえで、自由にレイアウトを競い合えるのである。