都民・国民の不信を買い続ける五輪組織委員会の不思議

音喜多 駿

こんにちは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。

正式なアナウンスが出る前に、またもこんなニュースが報道されています。

五輪組織委 1兆円近くの負担 都や政府などに求める案
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161217/k10010810491000.html

ようやく約1兆8000億円という公式な試算が出てきたと思ったら、そのうち1兆円を政府と自治体が負担する…と。

五輪組織委員会には、五千億円程度の支払い能力しかないことはわかっていたとはいえ、穏やかではない話です。

このニュースに対しては情報感度の高い方々が集い、賛否両論が別れることも多い「NewsPicks」のコメント欄すら、ほぼ五輪組織委員会および森喜朗会長への批判一色といって良い状態です。

私自身も常々五輪組織委員会に対しては否定的なスタンスを取っておりますし、まったく擁護する気もないのですが、こうした動きを情報戦略的な視点から見ると、五輪組織委はあまりにも悪手を連発しすぎているようにしか思えません。

五輪組織委員会に関する過去ログはコチラから。

まずもってこうした報道が流れるということは、当然のことながら意図的な「リーク」した関係者がいるわけです。

あるいは「2兆円・3兆円」という数字が初めにひとり歩きし始めた時は、森喜朗会長や舛添前知事が自らメディアの前でその数字を口にしていました。

都議会議員という立場から情報開示請求をしても、

「未定の数字は出せない」
「生煮えの数字がひとり歩きをされたら、さまざまな支障が出る」

と拒否をしておいて、自分たち自身で数字をひとり歩きさせて大批判を浴びているのだから世話がありません。

「支障(や批判)が出る」とわかってるなら、情報コントロールを最後まできっちりして下さいという話ですよ、マジで…。

あるいは今回の件などが意図的なリークではなく、関係者からポロリと漏れているのだとしましょう(その可能性もある)。

その場合、組織の情報ガバナンスが効いてないということですから、こちらもまた非常に大きな問題です。一刻も早く「犯人探し」をして、守秘義務を遵守させる必要があるでしょう。

ただもしかしたら、メディアからこれだけマークされる中、あまりに巨体となった組織ゆえ、考案中のプランや計画の漏洩を完全に防ぐが色々な意味で困難なのかもしれません。うっかりマスコミの前で口を滑らせる重鎮もいらっしゃいますしね。

2016-12-01-2
(画像は四者協議の際のもの)

ではどうするか。取るべき対策は明白かつ容易です。最初から出来る限り情報開示に努めていくことが最善の対応策になります。

昭和の時代であれば、情報を出来る限り身内に秘匿し、しかるべき根回しが済むまで水面下で物事を進めていけばそれで良かったのかもしれません。

しかしながら、高度な情報化社会となった今では情報を隠し通すことなど不可能ですし、なんらやましいことがなかったとしても

「積極的に公開していなかった」

というだけで、信頼を失う時代になっていることに気がつくべきでしょう。

五輪組織委員会が抜本的に「情報」に対する向き合い方を変えない限り、都民・国民から信頼を得られる組織には到底なりえないのではないかと思います。

こういう情報管理を五輪組織委員会の広報担当者はわかっていてやっているのか、上からの指示が悪いのか、疑問はつきません。

来週にはまた都議会のオリパラ委員会がありますが、五輪組織委員会の関係者を呼んでの質疑というのはこれまで行われたことがないそうです。

こうした情報ガバナンスや意思決定のプロセスなどに対しては、都民目線で一つずつ確認・改善要求をしていく必要があると思います。

五輪組織委員会の一刻も早い正常化を願うとともに、議会からも提案が出せるように働きかけを続けて参ります。

それでは、また明日。

おときた駿 プロフィール
東京都議会議員(北区選出)/北区出身 33歳
1983年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループで7年間のビジネス経験を経て、現在東京都議会議員一期目。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、日本初のブロガー議員として活動中。

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