あなたの周りに、次のような人はいないか。「なぜか上司や取引先にいつも好かれる」「能力が特別高いわけでもないのに、周りに信頼されている」「本人の実力以上に評価されている」。いわゆる「憎めない人」である。一方、その逆の人もいる。
両者の能力や性格が同じだとしたら、評価を決定づける要因とはなんだろう。好かれる人、嫌われる人を分ける分岐点が存在するのだろうか。多くの解釈があると思うが、見た目が与える影響について考えてみたい。
西出ひろ子(以下、西出氏)は、マナー講師である。主な著書としては、27万部のベストセラーを記録した『お仕事のマナーとコツ』(学研) があり、2010年「NHK大河ドラマ・龍馬伝」にてマナー指導を担当するなど活動は幅広い。日本でもトップクラスのマナー講師として知られている。
■第一印象を変えることは難しい
いますぐに、そして簡単に実行可能で、あなたの印象を良くするとっておきの方法がある。ちょっとしたマナーを心がければ対応できる。
「それは見た目をよくすることです。見た目だけよくても、中身が伴っていなくてはダメだと言う人がいます。一方、見た目が9割とも言われます。いったい、中身と外見どちらが大事なのでしょうか。」(西出氏)
「これは、相手の立場から想像すればわかります。社会人としてふさわしい身だしなみをすることは、最低限のマナーであり、ビジネスパーソンとしての必須条件です。」(同)
実際に視覚からの情報は印象に大きな影響を与える。初めて会う方であれば、なおさらだろう。とくに人は思い込みをするので最初の印象がそのまま変わらないことがよくある。悪い印象ほど、あとあとまで変わらない。
「二度目に会う方でも、第一印象を変えることはなかなかできません。最初に『あまり好きになれない』『信用できない』と思われたら、その評価を覆すのは難しくなってしまいます。それは、外見にも、その人の仕事ぶりや能力が表れるものだと考える人が多いからです。」(西出氏)
「第一印象が悪ければ、次はありません。外見とその人の印象は、ダイレクトに直結していると言っても過言ではありません。相手に初めて会うときには、身だしなみをしっかり整えてから、臨みましょう。」(同)
見た目に自信がない人は、あえて最初から勝負服に着替えて、充分な戦闘態勢を整えて臨むことも一考ではないだろうか。
■見た目を整えてチャンスをつかめ
中身だけで勝負するのではなく、外見でも相手によい印象を持ってもらうことで、相手との関係性が構築しやすくなる。
「ビジネスシーンにマッチした見た目をつくることで、『この人は身だしなみもきちんとしている信頼できる人』と、相手に安心感を与えているのです。逆に、身だしなみがきちんとしていないと、相手に不安感や不信感を与えてしまいます。」(西出氏)
「よれよれのスーツを着た銀行マンが、『老後の安心金融商品』を売っていたら、不安に思うはずです。身なりもちゃんとできない人に、私の大切なお金を預けても大丈夫だろうかと不安になるに違いありません。」(同)
極端な例だと思わないでもらいたい。その場の状況にふさわしくない身だしなみをしている人は、意外にも多いのである。
「中身と外見とのギャップが大きければ、相手も戸惑いますし不安に思ってしまうことでしょう。外見の印象がよくないと、どんなに中身が素購らしいものでも、正しく評価されないかもしれないのです。身だしなみをしっかり整えておけば、初めてお会いした方からもよい印象を持っていただくことができます。」(西出氏)
相手によい印象を持ってもらえば、さまざまなチャンスが舞い込んでくることだろう。見た目を最優先で磨くことの効果を覚えておきたい。あなたの見た目はいかが?
参考書籍
『頭がいい人のマナー 残念な人のマナー』(すばる舎)
尾藤克之
コラムニスト
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