さて、師走は忘年会やらクリスマスパーティやらでお酒を飲む機会が増えます。
ぼくは対してつよくないので、体調が悪いとワインを一杯飲んだ程度で、その日のうちに二日酔いのような頭痛がおきます。そこで役に立つのがこの薬です。
実はこの薬、成分は漢方薬の五苓散です。
小林製薬のアルピタンのページです。
http://www.kobayashi.co.jp/corporate/news/2016/160928_02/
アルコールなどによる頭痛を抑える、漢方処方のアルコール頭痛対策薬が新発売
年末年始が近づくにつれ、忘年会や新年会といった場でお酒を飲む機会が増える方は多いと考えられますが、生活者の中には、飲酒によるアルコールが原因で頭が痛くなってしまう方がいます。
弊社生活者調査によると、20-69歳男女の中で、月1回以上飲酒で頭痛が起こることがある方は、約10人に1人で、762万人にものぼることがわかりました。また、飲酒前の予防策として「特になし」に次いで、「ウコン配合ドリンク」「水分を多く摂る」が上位にあがり、頭痛が起こった後の対処法としては、「水分を多く摂る」「睡眠」「市販の鎮痛薬」が上位にあがり、さまざまな対処法を試みている実態がわかりました。その一方で、これらの対処法に対し、約7割の方が満足できていないことが明らかになりました。
そこでこの度、漢方処方「五苓散(ごれいさん)」の働きでアルコールなどによる頭痛を抑える、アルコール頭痛対策薬「アルピタン」を新発売いたします。
本製品の発売により、アルコール頭痛対策薬という新たな市場を創造してまいります。
アルピタンは6包で1,080円(税込み)五苓散(ごれいさん)料エキス 2.3g
対してツムラの五苓散は24包で、希望小売価格は:3,780円(税込)
乾燥エキス1.4gを含有。
http://www.tsumura.co.jp/products/ippan/019/index_s.html
ツムラの五苓散だと2包で、概ねアルピタンの1包分です。
アルピタンの方がお得、ということになります。
小林製薬のマーケティングは俊逸です。
まず、アルピタンのというネーミングで、飲酒による頭痛を抑えることを前面に押し出しました。
既存の競合製品はそのようなことを謳っていません。
そしてツムラや他の漢方メーカーは、五苓散にそのような効能があることを積極的に謳っていません。
ツムラのHPの効能は以下の通りです。
体力に関わらず使用でき、のどが渇いて尿量が少ないもので、めまい、はきけ、嘔吐、腹痛、頭痛、むくみなどのいずれかを伴う次の諸症:
水様性下痢、急性胃腸炎(しぶり腹注)のものには使用しないこと)、暑気あたり、頭痛、むくみ、二日酔
そして6包で、1080円という手頃な値段で値段で、ちょっと試してみようというハードルを下げています。しかも1回ぶんの含有量が高い。当初ぼくはツムラのものを1包飲んでいましたが、余りきかず、2包飲むと効果がかなり実感できました。
更にコンビニなどて手軽に手に入ることも販路を大きく拡大しました。
仮に小林製薬が五苓散の名前そのものでツムラなどと同じようなパッケージ、販売して、頭痛に効くと書いてもあまり売れなかったでしょう。漢方では後発になるので、ブランド力がないし、ドラッグストアや薬局の棚をとるのは至難の技だったでしょう。
ところが酒の酔に効くとなれば話は別です。
パッケージもそれに特化しています。
ですから、普段漢方薬に馴染みのないお客でも手に取ってくれるでしょう。
しかも実は先行品よりも実質的にお安い。
つまり、既に既存の製品があり成熟していると思われていた製品でも、売り方、流通方法、ネーミング、パッケージ、用途のアピール、プライシングなどを工夫すれば、後発でも十分に勝負できるというわけです。
こういう例を普段から分析していると自分の商売にとっても大変役にたちます。また商売をやっていない方でも、あれこれ頭の体操になるかと思います。
編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2016年12月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。