背水の陣などではなく、今は水の中にいるんだ、とよく民進党の野田幹事長は喝破したものだ。
周りがよく見えているようである。
何の幻想も抱いていないようなのがいい。
ご本人は相当醒めているのだろうが、変に熱に浮かれている人よりは今の民進党には相応しそうだ。
夢がない、とか、理想が低いなどという批判は出てくるだろうが、自分たちの人気のなさを率直に認めているのがいい。
共産党との選挙協力で何とか自分たちの勢力を拡大しようなどという邪道は捨てて、民進党は民進党らしく愚直に自分たちの信じる方向に向かって懸命に走ることである。
蓮舫さんもぶれないことだ。
今年7月の東京都議選挙については東京都知事の小池さんとも連携を図りたい、と率直に述べているのがいい。
民進党のブランドは出来てまだ1年も経っていない。
今年は、旧民主党のカラーを脱ぎ捨てて、民進党らしい歩みを始めることだ。
ウルトラ保守派の人からはあれやこれや言われるだろうが、私から見ると、民進党も国民に基盤を置く大事な保守政党である。
イデオロギー過剰で先鋭化しやすい一部の政党とは明確に一線を画して、国民の声、国民のニーズに真摯に応える国民政党としての道を歩むことである。
民進党は自民党の支持者や元自民党の国会議員や地方議員をも受け容れることが出来る、懐の広い政党になることである。
勿論政策が最も大事だが、色々な人が民進党に集まるようになって初めて民進党は自民党に対抗し得る政党になる。
官僚出身者で有能だが、選挙区の事情で自民党ではちょっと公認を得られそうにないような人を受け容れることが出来るような政党になることで、ようやく民進党は活路を見い出すことが出来る。
共産党との選挙協力ばかりに血道を上げていると、結局は共産党に自分たちの選挙基盤を奪われてしまうことにもなりかねない、ということをよくよく考えておくべきである。
幸い、1月の通常国会冒頭解散はなくなったようだ。
蓮舫さんが民進党の代表になったのはつい4か月前だった、ということを考えれば、民進党らしいカラーを打ち出すのはまさにこれからである。
共産党と一緒になれば、結局民進党の存在価値は失せてしまう。
蓮舫さんが小池さんとの連携の重要性に気が付いているのはいいことである。
蓮舫さんは国際化時代に日本の政治家に相応しい出自と経歴、それなりの識見を備えているはずだ。
小池さんと組めば、新しい展望が開けるはずである。
どうせ水の中でもがいているのだろうから、ここは思い切ってジャンプしてみることである。
上手くすれば、海面に顔を出すことが出来るかも知れない。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2017年1月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。