トランプ大統領の「ドル安円高」の方向性が見えつつある

東猴 史紘

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一時は112円台まで下落したドルが115円まで回復してきました。しかしこのまま、素直に116円台やそれ以上に向かっていくのかというと一時的にはそうなるかもしれませんが難しいでしょう。中長期的には120円や125円までのドル高になるという当初の専門家たちのトランプフォリア論はもう真実味がなくなったのではないでしょうか。というのもトランプ大統領は26日に米フィラディルフィアの共和党上下両院集会の演説で今後の通商交渉には「通貨安誘導に対し極めて極めて強い制限を導入していく」と表明したからです。
特に日本は中国やメキシコと同じように為替が米ドルに対して安くなっており、それが貿易不均衡を生んでいると考えられているので、2月10日に予定されている日米首脳会談などでもトランプ政権後に進んだ円安ドル高の現状に関して言及がなされる可能性があります。また、TPPからの撤退後は日米の2国間協議で円安を許さない制限が設けられる可能性が高いでしょう。

 

また、トランプ大統領が17日付のウォールストリートジャーナルで米ドルの強さに不満を漏らし、価値を引き下げる必要性に言及しました。また、ムニューチン次期財務長官も上院議員宛ての書簡で強いドルは経済に短期的に悪影響を与える旨の発言をしました。さらにここにきて上述した2国間協定への為替条項を加えていくとのことですからもう円安ドル高のシナリオは崩れていると言ってよいでしょう。

 

つまり、112円台まで一旦は下がったドル円も現状は115円台まで回復してきましたが、トランプ大統領の方向性を考えると短期的に経済指標の発表(下記の今週の主要日程参照)や米10年国債の長期金利の上下で116円台やそれ以上に進むこともあるのでしょうが、中長期的にみて現在より円高ドル安へ進むと考えるほうが自然です。

 

貿易不均衡の解消に情熱的に取り組むトランプ大統領の矛先は間違いなくメキシコや中国だけでなく日本にも向いています。

 

東猴史紘
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