国土交通省は2月7日に『高速道路からの一時退出を可能とする「賢い料金」の実施について』という報道発表を行った。高速道路から退出して道の駅を利用後に再び高速道路に戻った場合、降りずに利用した料金のままとする「賢い料金」を、全国3か所のインターチェンジ・道の駅で実証実施するという。これは、高速道路での休憩施設の不足に対応するための施策だそうだ。高速道路料金は基本料金(ターミナルチャージ)と距離料金の組み合わせで決められているので、降りずに利用したと計算されると、基本料金分と長距離料金逓減分が節約になる。
鉄道の場合には有効期限内であれば途中下車が可能である。途中下車して名物料理を食べたり、名所旧跡を見学できたりと自由度が高い。「青春18きっぷ」のように自由に乗り降りできる切符もある。高速道路には同様の制度がなかったが、「賢い料金」として実験されることになったわけだ。一見すると、基本料金分などだけ減収になるような気もするが、今までは多くの利用者が「途中下車」せずに最終目的地まで直行してきたので、高速道路会社の収入は変わらない。他方、道の駅の売り上げが上がれば、その地域に経済効果がもたらされる。
この「賢い料金」を高速道路沿いの観光地をめぐる利用者にも適用したらどうか。東京から大阪に向かう途中に静岡県で海の幸を楽しむ、といった利用者にも「賢い料金」を適用するのだ。「九州地方の高速道路はいくら走っても5日間1万円」といった「青春18きっぷ」のような定額料金にも期待する。
旅行客の増加は地域に観光収入をもたらす効果がある。お盆などの時期に渋滞が発生したら観光地で遊んでから高速道路に戻るといった選択もできるようになり、結果として渋滞が緩和される可能性がある。
ETCが広く普及した今だからできる施策として、道の駅利用にとどまらず、検討を広げて欲しい。