日米首脳会談前、トランプ米大統領がひとつの中国を「尊重」

日米首脳会談を前に、トランプ米大統領が動いています。

米大統領選挙で勝利した直後こそ電話会談し、ウィン・ウィンの関係構築や早期会談で合意したものの、2015年12月に台湾の蔡英文総統との電話その後の関係は冷え切ったように見えました。しかし日米首脳会談を控え中国との関係修復を目指したホワイトハウスが8日、中国に書簡を送付。「建設的な関係(constructive relations )」を望む意向を表明。早速、9日には電話会談を行い中国の求めに応じ「ひとつの中国を尊重する」メッセージを伝えました。

ソーシャルメディア部長ダン・スカヴィノ氏が、ご覧のツイート。

Twisted Sisterの名曲にかけて、スカヴィノ氏のツイートにトランプ支持者はこの反応。ひとつの中国を尊重する姿勢を支援するというより、今後の関係改善へ向けた第一歩と捉えている模様。

(出所:Twitter)

2016年12月11日のインタビュー、並びに1月13日のインタビューで「ひとつの中国」今年1月11日の記者会見、「ひとつの中国」という聖域に踏み込む可能性に言及。1月11日の記者会見ではサイバー攻撃や南シナ海問題、経済的に米国を利用した国の一つ(他は日本、ロシア、メキシコ)に挙げていました。ところが、にあっさり矛を収めた印象は禁じ得ません。

なぜなのでしょうか?

日米首脳会談では、トランプ米大統領が地上で最も愛する場所であるフロリダ州マール・ア・ラーゴの別荘で出迎えます。安倍首相とは就任直後の2016年11月17日に会談しただけでなく、他の首脳と同じく1月後29日に他首脳と同じく電話でも会談を行いました。ホワイトハウスがここにきて、対日・対中外交バランスを考えたてもおかしくありません。

好意的な想像を働かせるなら、日米間で何らかの合意が飛び出す場合に備え中国との関係悪化を回避する必要性が生じたとも考えられます。日本の打診に応じ、麻生財務相とペンス副大統領をトップに据えた日米閣僚級協議を設置もあり得るでしょう。経済・通商・投資など諸問題を協議する対話ラインを構築すれば、トランプ側としても日本への要求を突きつける舞台装置が出来上がり、支持者へのアピールになります。

いよいよ、日米首脳会談に目が離せなくなってきました。

(カバー写真:Finnegan/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2017年2月10日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。