タイトルをどうするか問題 煽りは恥ずかしいと思うのよ

50
4月刊行の本をいったん書き上げた。厳密には、先週の金曜に入稿していたのだが、さらに加筆をし。実に1年半ぶりの書き下ろしの新作である。今年の書き下ろしの単著は今のところ、これだけ。いや、もう1冊、連載に大幅に加筆した、書き下ろしに近い本が出るし、共著1冊と、電子書籍化する本が1冊あるのだが。そして、出版社はまったく決まっていないのだが、プロレタリア文学を書き下ろす予定なのだが(書き上げてから出版社を探すか、文学賞に応募するつもり)。

一時、多い年で年間7冊書いていたりし。なんか信じられないや。周りでも盟友中川淳一郎さんやおおたとしまささんは、結構なペースで書いていたりするのだが。構成作家をやっている人なんかは月1冊くらい手がけていたりするのだが。なんというか、ペースを取り戻すのに苦労した。全力を投入したけれど、まだまだだと思うので、初校でかなり手を入れると思う。

長時間労働に関する本だ。なぜ残業はなくならないのかという問いに立ち向かったものである。なぜ、残業はなくならないか?日本の雇用システムを考えた場合、そこには合理性があるからだ。そして、そのシステムを理解しない長時間労働是正は「改善」ではあるが「改革」ではない。労働強化につながる可能性だってある。そんな内容。会社員(様々な仕事)→フリーランス→大学教員という私でなければ書けない本だと自負している。

来週の月曜の11時からタイトル会議が開かれるという。書籍のタイトルは著者の意見は聞いてもらえるのだけど、最終的には出版社が決めるのだよね。

一応、案を出した。こんな感じだ。

残業と日本社会
残業社会日本
残業列島日本
残業の社会学
日本の残業
残業と日本人
残業
残業学
残業論
残業学概論
残業学入門
残業講座
ザ・残業
残残残業
残業はなぜなくならないのか
残業する人はバカなのか
残業は素晴らしい
残業のバカヤロー
残業は合理的だ
残業が減らないのは、合理的だからだ
畜生、今日も残業だ
働き方改革の罠
残業と社畜
残業する人は社畜なのか
残業という病
日本から残業がなくなる日
残業について語るとき、僕の語ること

・・・結局、残業というキーワードには妙なこだわりがあり。本来は長時間労働などの言葉を使うべきなのだが、会社員にとって身近な言葉なので。

しかし、なんでこんなにタイトルに悩むのだろう。これが30代だったら、やや下品なタイトルとか、あおり気味のでもよかったのだけど。タイトルは機能しないといけない。もっとも、読んでもらえないとまったく意味がないわけで。ただ、大学の先生、評論家として諸々呼ばれたりするわけで。あまり煽っているタイトルは、ね。

残業と日本社会、残業論、残業はなぜなくならないのか、あたりの王道タイトルにするつもり。

しかし、ふと気づいたが。ブログにしろ、ネットニュースにしろ、いつもタイトルに悩んでいるんだな。いや、いつもノリと勢いなのだけど。これがうますぎても、内容がいくらよくても煽りと思われるという。機能するタイトルって大事だね。コピーライティングの勉強をしますかね。

僕たちはガンダムのジムである (日経ビジネス人文庫)
常見 陽平
日本経済新聞出版社
2015-12-02



個人的には、代表作のこれと・・・。



これが好きだなあ。



今度、電子書籍版が出るこれなんかも、王道タイトルでよかったなあ。



これなんかは煽りに煽っているよね。



これなんかは、中身は当時の最高傑作と評価されたのだけど、タイトルが煽りすぎだったねえ。下品というか。母にも注意された。

というわけで、もう少し悩んでみよう。書籍のタイトルは最終的に出版社が決めるので、祈るって感じなのだけど。


編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2017年2月11日の記事を転載させていただきました。転載を快諾いただいた常見氏に心より感謝申し上げます。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。