いよいよバレンタイン・デーですね。今夜は仕事帰りにチョコレートを購入された女性が多いのではないでしょうか。かくいう筆者も、昨年が日曜だったため帰国してから初となる”社内用・お世話になってますチョコ”を買い集めました。下調べに時間を割けず、定番ブランドになってしまって残念です。
今年のバレンタイン・デーと言えば、ワシントンD.C.で米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が米上院銀行委員会で半期に一度の旧ハンフリー・ホーキンス証言を行います。今回は、トランプ政権発足後初めての議会証言ですから市場関係者から熱い視線を寄せられること必至。しかも、従来のトーンを変化させる3つの理由があるなら尚更です。
1.「驚くべき税制改革」が与えるリスク
→フィッシャーFRB副議長は10日に財政政策をめぐり「大いなる不透明性がある」と発言していたが、トランプ米大統領が数週間以内に大胆な減税政策を打ち出せばリスク資産への資金流入が加速する可能性が高まる。足元でダウとS&P500は2日連続で、ナスダックは4日連続で過去最高値を更新して引けており、トランプ・ラリーならぬトランプ・バブルの芽を摘む必要性を認識してもおかしくない。シニア融資担当者調査では利上げ後も商業・産業の融資条件は概してニュートラルで商業不動産への資金流入にも注意が必要。また、2016年6月の議会証言のように”割高”発言が飛び出すリスクも。
2.3回利上げを織り込まない市場に喝
→FF先物市場でみた3月FOMCの利上げ織り込み度は30%程度で、6月まで利上げはないと予想する状況。Fedは2016年12月FOMCで利上げ予想・中央値を年3回へ引き上げたものの今週は米1月消費者物価指数や米1月小売売上高を予定する事情もあり、政策の自由度を保つために1月FOMC声明文からタカ派へ軸足を移す余地あり。2015年5月での講演、並びに2016年8月のジャクソン・ホール会合など、機会を捉えて実際に利上げに踏み切るずっと以前に行動に移すサインを点灯した実績を持つ。
2016年12月FOMCの経済・金利見通しは、以下の通り。
3.バランスシートの変更地均し
→1月の米連邦公開市場委員会(FOMC)声明文はハト派寄りと解釈が優勢だったものの、議事録でバランスシート政策の変更を議論した公算は大きい。22日のFOMC議事録公表を前に、イエレンFRB議長が地均しに動くケースも。
熱を帯びつつあるマーケットに愛の鞭を放つことは、財政出動を検討するトランプ政権への牽制ともなる。笑顔がチャーミングなイエレンFRB議長ですが、Fedの役割をなおざりにしてトランプ米大統領に甘い顔をするなんて筆者には考えられません。
(カバー写真:Federalreserve/Flickr)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2017年2月13日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。