英語に親しむ活動を小3から、正式教科小5から 新指導要領案(日本経済新聞)
文部科学省は14日、約10年ぶりに改訂する小中学校の新学習指導要領案を公表した。英語に親しむ活動の開始を小学3年に早め、小5から英語を正式教科とする。学習内容は減らさず、現行指導要領の「脱・ゆとり」路線を継承。授業の改善で「対話的で深い学び」を実現し、思考力や主体性を伸ばす。小学校は2020年度、中学校は21年度から実施する。
すでに多くの専門家も、付け焼き刃の小学生レベルの英語教育は無駄と主張しています。
最近の週刊東洋経済でもそのような記事がでておりました。
多少やっても完全なバイリンガルになるわけでも、ありません。むしろ英語が嫌いになる子供が増えるだけではないでしょうか。これが周囲に英語を話さざるを得ない環境、例えば親の片方が外国人であり、周囲の子供もバイリンガルななら話はべつでしょう。
今度5年生で週に1時間に増やし、3年生で1時間やらせるそうですが、時間の逐次投入であり、成果は期待できないでしょう。しかも教師が英語を話せない。コミュニケーションをとることはもっとできない。
せいぜいお天気の話程度しかできないでしょう。
単に英語がわかるのと、コミュニケーションがとれるのは全く異なります。
TOEICなどで高得点がとれてもコミュニケーションができない人はすごく多いのが実態でしょう。
コミュニケーションには相手の文化を理解する必要があります。
そもそも日本語で自分の意見がいえないのが日本人です。
母国語で自分の考えを言えない人間が、外国語で自分の考えをいえるでしょうか。
覚えることが多い幼少期に、そのキャパシティを潰してせいぜい英語で道案内をする人間を量産するだけです。
英語が話せても、まともに意見が言えない、本当の意味でのコミュニケーションがとれない日本人は少なくありません。英語は話せるけども仕事が全くできないという人は外資系企業に少なからず見られます。
多くの国に囲まれている国、例えばチェコやセルビアなどの国々では語学を取得するのは極めて早いです。その適応能力は目を見張ります。それは大人になってからでもです。以前セルビアにいったときは、キオスクのおばちゃんたちがみんな英語を話せて驚きました。チェコも共産時代から、自由になった数年はロシア語、ドイツ語しかしゃべれない人ばかりでしたが、あっという間に流ちょうな英語を話す人が増えました。
でも、日本人には無理でしょう。歴史と環境が違います。また他国との言語も大きく違います。
やるべきことは、自己主張や議論ができる子供を育てることです。
そういう授業を行うべきです。
ところが、教師がだめです。教師がそれができないし、自己主張する子供は嫌われます。
中学時代、走れメロスの感想文を書かされて、思いっきりけなしました。
日本文学は読まなかったけど、文壇ゴシップは詳しかったので太宰治批判をしたわけです。
ところが担任の国語の教師は「なんで褒める感想文かかないのだ」と。
だって素直な感想書くのが、感想文であって提灯記事みたいな感想文なんか、感想文じゃないでしょう。
そういう話は教師には伝わりませんでした。
そういう半径5メートル程度程度の「常識」を振り回す教師は多いでしょう。
個性は奇形、人と同じを目指せというのが日本の教育であり、社会です。
それを排して英語教育をやる度胸なんか文科省にないでしょう。
まずは教師の改革から始めるべきです。それは極めて大事です。
また英語よりも、国語の音読、それも繰り返しの音読をやるべきでしょう。
英語の音読も中学生から始めるべきです。これは極めて効果が高いようです。
そういうことをやっていたら、ぼくも未だに英語で苦労をすることもなかったでしょう。
そんなわけで、未だに英語の勉強をやっております。
英語ができる人たちの意見を聞いてもほとんど役に立ちません。
むしろ英語ができない人間の意見や経験からこそ、有益な英語教育のヒントが得られると思います。
そもそもなんで英語をならうのでしょう。
外国人に道案内させるのですか。
外資系企業でビジネスをさせるのですか。
俳優をやらせるのですか。
外国でプラント建設の仕事をさせるのですか。
それによって求めるレベルや方向性は全く異なります。
昔はやった国際人養成ですか(笑
何のための英語教育かという大戦略が欠如しているように思えます。
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編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2017年2月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。