地方創生学科、地域経済学部・・・という大学の学部が最近、人気を集めています。しかし、それらのほとんどが三大都市圏や県庁所在地にあります。
「地域の事例を学ぶ」のではなく、「地域の現場で学ぶ」方がより本質的ではないか。
事例はインターネットなどを調べるとたくさん出てきます。それよりも大切で、これからの時代に求められることは、わけの分からない(バックグラウンドが異なる)おっちゃんとコミュニケーションをとる、信頼関係を築く、あるいはそもそも何が問題であるかを考える力。
そうした問題意識から、鹿児島県長島町と慶應義塾大学SFCは、この度、地方創生に関する連携協定を結び、「地域おこし研究員」制度を始めることにしました。
具体的には、希望する大学院生が長島町に住みながら、さまざまなことを研究し、実践したことを成果としてまとめていきます。通常の授業は長島大陸Nセンターなどでインターネットを活用した遠隔受講。定期的に湘南藤沢キャンパスを訪問。教授による対面指導や全国の仲間と意見交換し、それを長島町での研究・実践に生かしていきます。)
長島町では、採用基準をみたす大学院生を「地域おこし協力隊」として積極的に登用。学費や生活費、湘南藤沢キャンパスへの交通費などをサポートします。また、大学院生が研究し、実践したことを政策などに迅速に生かしていきます。
まさに「慶應義塾大学SFCの長島大陸サテライト」です。高校や大学がない長島町に、高校(長島大陸Nセンター)や大学ができたわけです。大学生世代が活躍することで、地域の大人のチャレンジの連鎖や子供たちの憧れの連鎖を生み出していきたいです。
これは、地域おこし協力隊登用の第3段階という側面も有しています。長島町では、地域おこし協力隊が、より能力を発揮し、活躍できる環境を整えていきます。
●第1段階は、他の自治体で見られる役場の臨時職員と勘違いした運用。これでは地域との繋がりも生まれにくく、外からの視点や人脈も生かしづらい構造です。
●第2段階は、長島町役場が一昨年始めたインターネット(=スタンバイ)を活用した募集。「田舎暮らしはキャリアアップ」を掲げ、これまでの経験や人脈を生かし、町のさまざまな課題解決に取り組んでいます。
●第3段階は、この地域おこし研究員。大学のさまざまな助言や指導のもと、より本質的な課題解決につなげていきます。
長島大陸の地方創生の取組はTTP(徹底的にパクる)大歓迎。全国に地域おこし研究員制度が広がり、お互いに協奏しながら、町の課題を解決する社会イノベーターを養成していきたいです。
<もっと知りたい!長島大陸Nセンター>
■高校が消えた町に「Nセンター」というトレンド
<井上貴至(長島町副町長(地方創生担当)プロフィール>
http://blog.livedoor.jp/sekainotakachan/archives/68458684.html
<井上貴至の働き方・公私一致>
東京大学校友会ニュース「社会課題に挑戦する卒業生たち」
学生・卒業生への熱いメッセージです!
http://blog.livedoor.jp/sekainotakachan/archives/68581524.html
<井上貴至の提言>
杯型社会に、求められること
http://blog.livedoor.jp/sekainotakachan/archives/68619160.html
編集部より:この記事は、鹿児島県長島町副町長、井上貴至氏のブログ 2017年2月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『「長島大陸」地方創生物語~井上貴至の地域づくりは楽しい~』をご覧ください。