安倍政権の米国製兵器購入は国防強化になるのか ?

清谷 信一

米から輸入する無人偵察機「グローバル・ホーク」(防衛省サイトより:編集部)

武器購入「米国の雇用にも貢献」 安倍首相が答弁(朝日新聞デジタル)

「最先端技術を用いた米国の(防衛)装備品は我が国の防衛に不可欠だ。安全保障と経済は分けて考えるべきだが、結果として米国の経済や雇用にも貢献するものと考えている」と述べ、米国からの武器の購入を通じて米国の雇用創出に貢献する考えを示した。

その前は、

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が米国のインフラ事業に投資することなどを通じ、米で数十万人の雇用創出につなげる。対米投資などで米成長に貢献できる考えを伝え、トランプ政権との関係強化につなげる。

公的年金、米インフラに投資 首脳会談で提案へ(日本経済新聞)

ですからねえ。
ひたすら、アメリカ様に阿る。
これが「戦後レジームからの脱却」とか「日本を取り戻す」とかいうことのなのでしょう。
あーあ、世界有数の経済大国の首相の台詞じゃないですよね。

すでに、グローバルホークやオスプレイ、AAV7とは必要性が怪しいおもちゃを大人買いしております。グローバルホークは南西諸島海域は週に2,3回しかも短時間しか哨戒できないし、情報はアメリカ様経由で、直接生の情報を触らせてもらえない。オスプレイはヘリボーン作戦には不向きで、陸自航空隊の予算を圧迫して既存ヘリの稼働率おとして、陸自航空隊の戦力を弱体化させている。

AAV7は南西諸島で試験すらせずに、はじめに導入ありきで調達を決定。しかも米海兵隊は俺たちの中古を買え、とアドレスしたのに「おニューがいい」と駄々をこねて、新造品を調達。将来米海兵隊が既存のAAV7をアップグレードするとインターオペラビリティが確保できない。しかも海自にはAAV7を全車輸する能力がなく、実戦では持て余す。

安倍政権の米国製お買い物は自衛隊を弱体化されているだけです。
アメリカに貢げば、最新兵器を導入すれば国防が強化されるなとど考えているでしょうが、お子様レベルです。

安倍首相や小野寺防衛大臣(当時)は防衛費を増やして国内調達を増やすと、景気がよくなるといってました。乗数効果の低い防衛装備を買って、景気がよくなるものですか。それが事実ならばソ連は崩壊しておりません。

どうせ米国製を導入するならば将来性がなく、コストだけは高い国産品を抹殺するために米国製兵器を導入してはどうでしょうか。例えばSH/UH-60、CH-47などのヘリ。N-16などの小火器などいかがでしょう。小火器の輸入は米国にアピールすると思いますよ、わかり安いですから。機関銃もいいでしょう。FNが米国生産している7.62ミリや5.56ミリの機銃などもよろしいでしょう。

またC-2の調達をやめてC-130Jとかを大量に導入してはどうでしょう。どうせ輸出もできない、維持費は馬鹿高く、不整地で使えない=実戦で使用できない代物です。F-35も輸入に切り替えれば組み立て国産生産よりも遙かに安く上がります。

アメリカ様のケツを舐めるのならば、高コストでやる気のない、不要な防衛産業を潰しましょう。
そして指揮通信、兵站、衛生、装備調達などの本来必要な分野の予算や人員を確保しましょう。
それならば支持します。

 

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編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2017年2月16日の記事を転載させていただきました(タイトル改稿)。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。