『致知』2016年12月号の冒頭「特集総リード」に、「人生には不変の原理が二つある」として次の二つ、「人生は投じたものしか返ってこない、ということ」及び「人生は何をキャッチするか」ということが書かれていました。
「人生には不変の原理が二つある」として私の二大真理を挙げるとすれば、それは拙著『森信三に学ぶ人間力』の第三部・第二章「主体的な生き方を導く立腰道」にて述べた通り、「身・心相即」と「万物平衡」という森先生が言われているこれら二つの原理しかないと思います。先生は「身・心相即の理」と「万物平衡の理」の二つを「人間存在にとっては最大最深の二大真理」と言われ、「我われ人間がこの二度とない人生を全うするには、何よりも先ずこの二大真理を体得するよう全力を集中して学ぶ必要がある」と言われます。
「万物平衡の理」とは宇宙を貫く真理のことで、「この世に両方良いことはない」という陰陽循環の理、換言すれば「満つれば欠くる世の習い」という考え方のことです。神は全てに対し公平で、長い目で見たら良いこと尽くめや悪いこと尽くめで終わることは決してなく、その意味で万物は平衡が保たれるよう出来ているということです。之が「天の摂理」とでも言うべきもので、東洋の基本的な思想です。一方が出れば、その反作用でバランスして行く此の調和こそ、宇宙における最も霊妙な理かもしれません。
「身・心相即」とは読んで字の如く、人間は心と体が相即している存在であるということです。森先生曰く「我われ人間存在というものは、もともとこの体と心とが相即一如の状態になるように、造物主によって創造(つく)られていると信じられるのであ」り、人間「身・心相即の存在」であるが故、上記した「宇宙の大法」である「万物平衡の理」を認識し体得することが出来る、というわけです。
先生は、天から与えられている「知・情・意」を一体として備えた一つの「いのち」を照らし明らかにすることで、宇宙の法則を知ることが出来ると言われています。之を裏返して見ると、「身・心相即の理」というものに自分が納得すれば、それは「全宇宙をつらぬいている絶大無限」な「万物平衡の理」を認識し、体得できるようなるということです。
あるいは逆に納得できないとすれば、それは心と体が調和していない状態(身・心の不平衡の状態)であり「万物平衡の理」を認識・体得できず、結果として苦悩が生ずることになります。こうした考え方は「いのち」を徹底して突き詰めることで大きな宇宙の真理が分かり、当該真理に沿って生きれば我々は何も苦しむことなく幸せに生きられることを教えています。同時に主体性を獲得し、意義ある人生を送ることが出来るようになるのです。
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