日本の子育て支援政策のバイブル誕生 !

駒崎 弘樹

保育所つくると、予算がかかって嫌だなぁ、と思ってる、全ての政治家、官僚の方々(特に財務省と厚労省)に呼んでほしい一冊が出ました。

「子育て支援と経済成長」柴田悠

 

丹念な統計分析の結果が解説された本書から、以下の事実が分かります!

「保育サービスに1.4兆円つぎ込めば、経済成長率は0.64%上がり、子どもの貧困率は2.2%下がる!」

「法人税減税の経済効果は0.6倍、公共事業は最大1.1倍だけど、子育て支援は2.3倍の可能性」

「子育て支援は、労働生産性を向上させる」

「子育て支援は、『子どもの貧困』や『自殺率』を低下させる」

「子育て支援は、財政の改善にもつながる」

「でも、日本の子育て支援額は、先進国の半分のレベル」

え、まじか、と思われたあなた、ぜひ本書を手にとってください。

この本がすごいのは、子育て支援を行う財源の提示もあることです。

例えば亡くなった人の8%(!)にしか対象になっていない相続税というものがありますが、これを5%増税すると、2兆円の増収です。

これがどのくらいの額かというと、今の待機児童問題の解決するために40万人分の保育園を作らないといけないと想定されていますが、そのコストが約7000億円です。え、できちゃうじゃん、と。

これですよ、これ。こういう現実的かつ効果的な、説得力のある政策提言が学者さんから出てくることを、僕は待っていた。

そして京都大学准教授の柴田悠さんが、それに応えてくれたのです。

この本は、今後の僕の政策提言のバイブルになるでしょう。そしておそらくは、政治的意思決定の場にいる、多くの方にとっても。

「保育園に入りたい!」と叫ぶ父母にとっても。あなた方の叫びは、なんら不当なものではないのです。むしろ子育て支援の充実が、日本を富ませる道なのだから。

多くの方々に本書が読まれることを、切に願います。

子育て支援と経済成長 (朝日新書)
柴田悠
朝日新聞出版
2017-02-13

編集部より:この記事は、認定NPO法人フローレンス代表理事、駒崎弘樹氏のブログ 2017年2月20日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は駒崎弘樹BLOGをご覧ください。