イケテル自治体・日南市(宮崎県)に行ってきました。
きっかけは、社会起業家たちの天下一武道会R-SIC(アールシック)で、日南市のマーケティング専門官・田鹿倫基さんとの対談。
「地域で活動する人はそのホームグラウンドこそ輝く」。あらかじめ現場に行かなければ、その良さが引き出せません。田鹿さんだけでなく、崎田恭平市長、油津商店街のテナントミックスサポートマネージャー木藤亮太さんなどともじっくり意見交換しました。
イケテル自治体・日南市は、他のイケテル地域と同様、面白い取組が同時並行的に進んでいるのですが、とりわけ注目を集めるのは油津商店街の再生。
油津商店街の再生の経緯は、ざっとこんな感じです。
1)4年前、前の市長が、中心市街地活性化事業及びテナントミックス事業を立ち上げ。テナントミックスサポートマネージャーの公募の準備を進める。(公募直前で市長が交代)
2)今の崎田市長が、事業を継続。委託料月90万円! 4年間で20店舗埋めることが条件。市長を超える報酬が話題となり、全国から333名が応募。
3)木藤亮太さんを登用。テナントミックスサポートマネージャーに。
4)木藤さんが中心となり、地元経営者、建築デザイナーなどを集めて(株)油津応援団を設立。
5)商店街の端に、油津応援団自ら油津コーヒー店をオープン(1店目)。
6)さまざまなイベントなどで商店街に関心を持ってもらう。
7)2年前、豆腐屋が油津コーヒー店の隣に豆腐料理店をオープン(2店目)。
8)昨年、スーパーの跡地に飲食店街あぶらつ食堂がオープン。
9)田鹿さんが誘致したICT企業などが次から次にオープン。
⇒ 3年強で、22店舗の開業に成功!
特にすごいのが、2)3)4)5)ですね。
2)3)今の崎田市長からすれば、前の市長が企画した、成果がでるか分からない商店街マネージャーなんて、やめた方がよほどラク。成果がでなければ、自分が批判されてしまいます。
それでも公募し、木藤さんを登用。木藤さんを信頼してしっかり任せています。そうした環境があるからこそ木藤さんも十分に活躍することができます。
4)次に、自分だけでなく、地元の経営者や建築デザイナーも巻き込んで会社(油津応援団)を設立。チームをつくる・チームで対応するというのが大事ですね。
5)そして、まず自分たちで覚悟をとる。自分たちでお店を経営する。だからこそ地元の人も本気になります。口ばかりコンサルにはできないことです。
そんな木藤さんが語る商店街再生のコツのひとつが、こちら。
「隙間を埋めるのではなく、隙間をつくる」
もともとは閉店した大型スーパー。敢えて一部を解体して、真ん中に道をつくり、左側はイベントスペース。右側は飲食店街(あぶらつ食堂)を誘致。真ん中に道をつくることで、風通しが良くなり、商店街の中から、広島東洋カープがキャンプをする球場が一望できます。
右側の飲食店街は、フードコートのようにそれぞれのお店から料理を注文することができ、お客さんは多様な楽しみ方ができます。一方、収益の柱であるアルコールについては座ったお店が注文を受けることで、お店にとっても収益を確保することができます。
「隙間を埋めるのではなく、隙間をつくる。」
隙間をどうつくるかが、商店街再生の鍵かもしれません。
もっと知りたい商店街再生!
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<井上貴至(長島町副町長(地方創生担当)プロフィール>
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編集部より:この記事は、鹿児島県長島町副町長、井上貴至氏のブログ 2017年2月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『「長島大陸」地方創生物語~井上貴至の地域づくりは楽しい~』をご覧ください。