避難場所が地図で簡単にわかるようになった

国土地理院は『地理院地図』というウェブ地図を無料で公開しており、地形図、写真、標高、地形分類、災害情報などが誰でもいつでも閲覧できる。地理院地図にこのたび指定緊急避難場所のデータが追加され、地震や水害の際に最寄りの避難場所を探すのに利用できるようになった。

使い方は簡単で、地理院地図上の「情報」をクリックして避難場所を「情報追加」すればよい。この記事のアイキャッチ画像は東京都目黒区の菅刈小学校が洪水・地震・内水氾濫の際の避難所であることを示している。外出中に災害に遭遇し近隣の避難所がどこかわからない状況でも、これからは地理院地図を使って探せるようになった。

しかし、まだ問題は残っている。国土地理院は地方公共団体から情報が提出されると掲載するので、提供されないかぎり掲載できない。東京都23区を例にとると、今のところ(2月28日時点)避難所が掲載されているのは中央区・目黒区・杉並区・荒川区・練馬区・葛飾区にとどまっており、残り17区は掲載されていない。東海地震が警戒される静岡県でも未提出の地方公共団体が多い。緊急時には人々の安全に直結するため、速やかに情報を提出していただきたい。

第二は、地震火災や洪水ハザードマップが表示されないこと。最寄りの避難所が分かっても、まっすぐ行くと経路に火災の危険があるのでは迂回しなければならないが、その判断ができない。今後はハザードマップも表示されるように、国土地理院に動いてほしい。

第三の問題は視覚障害者の利用を想定していないこと。国土地理院に改善を求めるよりも、収集した避難場所所在情報の公開を求めてハッカソンで競うほうが、視覚障害者向けの情報提供を実現する近道かもしれない。

いくつかの問題はあるが、いざというときに避難場所が簡単に見つけられる、国土地理院の新サービスを歓迎する。