「実行準備行為を伴う組織的犯罪集団による重大犯罪遂行の計画」の罪、というのが正式の名称のようだが、もう一工夫する必要がありそうだ。
如何にも法務省や内閣法制局が好みそうな、構成要件を忠実に反映したような表現ぶりになっているが、明らかに罪名としては長過ぎるし、腹にストンと落ちない。
従前議論となった共謀罪とは別物だ、と言いたいのだろうが、テロ等準備罪やテロ謀議罪ほどには一般の国民には受けないだろう。
どういう表現ぶりがいいかは改めて皆さんで協議していただいた方がいいが、この通常国会でどうしても組織的犯罪処罰法の改正を仕上げるつもりだったら、もう少し大方の国民が受け容れられるような罪名を考えた方がいい。
安倍総理が言っていたように、2020年東京オリンピックの開催のためにどうしてもこの法律が必要だというのなら、やはり法案にテロという文言は必要だろう。単に「重大犯罪遂行の計画」の罪では、法定刑の多寡だけが問題で罪質を問わないことになる。
せめて「テロ等重大犯罪遂行の計画」ぐらいにすれば、この法律が対象とするのはテロ及びテロに準ずる重大犯罪なんだろう、ということにはなる。
法務省が与党に提示した法務省案では対象犯罪は277になるということだが、やはり多過ぎる。
どこまで絞れるか分からないが、テロ等の重大犯罪の未然防止や摘発に必要な犯罪に絞るべきで、テロとはおよそ関わりがないと思われる一般犯罪にまで適用対象を拡げることには賛同し難い。
幸い自民党の法務部会でも色々議論が出てきているようだから生煮えの法案が国会に提出されることはないだろうと信じているが、くれぐれも拙速に結論を出すようなことは避けていただきたい。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2017年3月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。