資産運用の世界には「エコノミスト」「ストラテジスト」「ファンドマネージャー」といった仕事をしている専門家がいます。
厳密な定義はありませんが、エコノミストとは経済全体についての分析を行うのが仕事。ストラテジストとは証券会社や銀行などで、投資に関する戦略を顧客に対して情報提供するのが仕事。そしてファンドマネージャーとは資産運用会社でお客様から預かったお金を運用して高いリターンを実現するのが仕事です。
個人投資家が情報収集をするとき、信頼できる資産運用の専門家をどうやって見つけたらよいのでしょうか。その基準を3つ考えてみました。
一番重要なのは、マーケットの動きに対して謙虚な姿勢を持ち続けていることです。相場を予想するのは簡単ではありません。常に変化に耳を凝らし、新しい情報に対して柔軟に対応する間口の広さが必要です。先入観や偏見が強く、思い込みが激しかったり、自分の意識が高い人は、変化を受け入れることができず、あまり資産運用の仕事には向いていないと思います。
また、資産運用の専門家の使命は、現状の環境から投資家に有益な情報を提供したり、投資家から預かったお金から高いリターンを実現することです。世の中がこうあるべきとか、政府の政策に対して間違っていると論評したり、天下国家を語ることではありません。現状を批評するのは評論家の仕事であり、資産運用の専門家は与えられた現状の中でベストな投資のソリューションを考えるのが仕事です。国を正しい方向に導いていくのは政治家や官僚がやるべきことなのです。
さらに、本業以外に多くの時間を割きはじめると要注意です。テレビのゲストコメンテーターとして頻繁に登場するようになったり、本業とは関係の無いバラエティ番組に出演するようになったら、本業に影響が出ないか気をつけた方が良いでしょう。メディアに登場して、露出を増やし知名度を高めることは営業上必要なのは理解できます。また、そのような活動から新しい情報が入ってくるというメリットも否定はしません。しかし、それは資産運用の専門家の本来の仕事ではなく、本業に影響を与えない限度というのがあります。
2000年前後のドットコムバブルと言われた時期には、カリスマファンドマネージャーと呼ばれる人たちが、頻繁にメディアに登場しました。しかし、その後多くのファンドのリターンはバブルの崩壊と共に低下し、メディアから消えていきました。マスメディアが持ち上げてきたときは、そのブームがピークになっていることが多く、注意が必要です。
世の中には、たくさんの資産運用の専門家が登場しますが、聞くに値する情報提供をしてくれるのは、ほんの一握りです。私が誰を信頼するかは、所属している組織や肩書きは関係ありません。運用成果につながるかどうかだけがポイントなのです。
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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2017年3月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。