事実だか作り話だか忘れましたが、英国の40代のお金持ち男性が20歳にも満たない妻と結婚したという話があります。今でいう「年の差婚」です。
ところが彼は性的不能だったので、夫婦の間に性行為は一切ありませんでした。
夫は、妻と同年代の男性が妻と(性的関係を前提とした)交際をすることを認め、3人は家族同然の付き合いをしました。夫妻が転居した時には、夫は彼に定期券を買い与えて自宅に頻繁に来てくれるよう頼んだそうです。
男性の性的不能で離婚に発展したケースは私も現実に知っていますが、こういった不思議な三角関係は知りません。円満であれば弁護士に相談など来ないので、当然といえば当然でしょうが…。
ただ、ずいぶん昔の話ですが、同級生だった男性と結婚した若い妻から、夫婦共通の友人である別の男性と性的関係を持った結果、妊娠したのではないかという悩みを打ち明けられたことがあります。
夫に話したのかと私が訊いたところ、「もちろん話しました。夫は「悩んでかわいそうに、僕が一緒に病院に行ってあげようか」と慰めてくれました」とのことでした。
夫婦ともに20代だったので、私は「ずいぶん理解のある夫だなあ〜」と感心した覚えがあります。
しかし、今から考えると、その夫は性的不能だったのではないかと思っています。
すべての性的不能の夫が、妻の他の男性との性交渉に寛大だということは決して有り得ないでしょう。しかし、何らかの事情で結婚せざるを得ず、円満な関係を維持しなければならない場合、妻を満足させることのできない夫としては「せめて自分の知っている相手と性交渉をしてもらいたい」と考えるのは、十分あり得るような気がします。
見ず知らずの粗暴な男が、夫婦の間に入ってくるよりはよほどマシでしょうから。
平穏な夫婦関係を維持して世間体を保ちつつ、かつ妻の不満が爆発することを避けるための究極の選択肢かと。
ちなみに、性的不能が理由で離婚になったケースでは、夫は妻の(精神的・肉体的な)DVに常時さらされ、(言い方は悪いですが)下僕のように扱われていました。夫としては自らの性的不能に負い目があったがために、妻に逆らえなかったのです。
もし、彼が妻に別の男性を紹介して性交渉を容認していたらどうなっていただろう?
もしかしたら妻のDVは発生しなかったかもしれない、などと勝手な想像をしている今日この頃です。
編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2017年3月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。