政治家・リーダーは決断・意思決定をすることがお仕事ですではリーダーとして意思決定・決断が必要という点を指摘させていただきました。その後、宮寺さんが実体験を交えたリーダー論について言及されました。
さて、そんなリーダーとしての資質が問われる小池都知事ですが、石原元都知事への責任を追求する方向で動いているようです。石原元都知事も早速記者会見を開いて、現在の騒動は小池都知事が引き起こしていると反論しています。
そんな石原元都知事と小池都知事ですが、上司としてみるとどちらが優れているのでしょうか?アゴラ読者のみなさんの多くも会社員として働き、上司がいるでしょうから、想像しながら読んでいただければと思います。
石原元都知事と小池都知事を比較する
石原元都知事は就任期間も長かったため、実績も多くありますが小池都知事は就任したばかりでほとんど実績がありません。今回は比較しやすいように、築地・豊洲の問題に焦点を絞って比較してみたいと思います。
石原元都知事
- 専門家の出してきた結論を信じて判を押す
- 豊洲移転を決定した自分の責任を認める
- 都職員を含め、みんなで決定した意見・方針を尊重する
小池都知事
- 専門家の出してきた結論を信じず、再検査を行う
- 豊洲移転について職員の責任を追求、退職した職員にも給与自主返納を迫る
- これまでの意見は認めず、独自の見解を重んじる
- 過去の都知事の決定を責任追求する
簡単にまとめるとこんな感じでしょうか。
もし小池都知事があなたの上司だったら…
私は今はフリーランスで働いているので、特に上司と言うのはいませんが、会社員で小池都知事が上司だったら…と考えるとなかなか怖いなと感じます。
例えば今までみんなで作ってきたプロジェクトがあるとします。このプロジェクトは前の上司からずっと行われていて、会社の肝いりでした。しかし新しい上司が来た途端、「このプロジェクトは見直す」というのです。さらに配置転換で異動した上司の責任を追求したり、その上司と一緒に働いてきた仲間や退職したベテラン社員にも、責任を追求するわけです。
皆さんはこういう上司の元で働きたいと思いますか?何年もみんなで作り上げてきたプロジェクトで、専門家も交えて方針を決めていたものなのに、新しく上司になった途端に「感性」でストップするのです。さらに過去のプロジェクトの責任まで追求されてしまいます。
私ならこういう過去のことをとやかく言う上司とは一緒にやっていける自信がありません。仕事をしていれば何らかの失敗をみんなするわけですから、その失敗をいつ追求されるかとヒヤヒヤしながら過ごさないといけません。
さらに一緒にやっていた仲間が給料返納するように言われたり、減給されたりするわけです。怖くて仕事どころではありません。みんなチャレンジしないで無難に失敗の少ない仕事を行うようになっていくでしょう。
現場に責任を取らせるなら何のために上司は存在するのか
バーテンダーというマンガでこんな話があります。ある若手社員が上司の部長と飲んでいるとき、プロジェクトの契約について大声を出してしまいました。タイミングの悪いことに、そこにはライバル会社の社長がいて、そのプロジェクトの契約の話を聞いてしまったのです。
本来であれば、そこでこの若手社員はクビにすることもできるでしょう。プロジェクトの契約が飛んでしまいかねない事態です。しかしここで一緒に飲んでいた部長は、ライバル会社の社長と街で偶然合った振りをし、飲みに連れて行きます。飲んで、クラブで接待をして腹踊りをし、そして最後には部下の失態を土下座して謝るのです。
ライバル会社の社長も器の大きい人で、飲み屋で聞いたプロジェクトの契約については聞かなかったことにしてくれるという話です。私はこれこそ上司の行うべきことだと思います。上司が存在しているのは、部下の失敗を軌道修正することも大きな理由ではないでしょうか。
都知事としての小池都知事についての評価は特にここでは行いませんが、もし企業の上司でこのような行動をされるとしたら…私は支持できないなと思うのです。